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生活保護とあなたの給料の関係 [社会]

ほとんどの人は生活保護なんか自分の給料と関係がないと思っている。しかし、実は深い関係があるのだ。

自分の給料は、大体、会社の業績と社会一般の相場で決まる。「こんなことならアルバイトでも出来る」とか、上司に嫌味を言われることもあるし、常に仕事を派遣に切り替えるようなことになる脅威もある。自分の能力が高く評価されている場合も、やはり給料は世間の相場からかけ離れたものにはならない。世の中の賃金相場が自分の給料に影響を与えているのは事実だ。

世の中の賃金相場がどのように決まるかは、やはり需要と供給のバランスなのだが、そうすると、求職が多く求人が少ない分野では、賃金が限りなく下がることになる。いくら働いても喰えないのでは国が崩壊する。そこで最低賃金法で労働者の賃金を下ささえするようになっている。当然ながら、この最低賃金が世の中の賃金相場に大きな影響を与える。給料はこの最低賃金からの上積みで決まるからだ。

最低賃金がどのようにして決められるかはかなり複雑だ。国の審議会が目安を提示して、さらに各地方で審議会が開かれ、地方別、分野別に細かく定められる。公益代表、労働代表、使用者代表が参加するが、その基準は、「必要な生計費」「賃金調査結果」「支払い能力」ということになっている。相場とか経営側の支払い能力などは絶対的ではないので結局一番効いてくるのは「必要な生計費」ということになる。

これをどう見積もるかが問題になるのだが、実はこれは「生活保護との整合性」で見ることが定められている。つまり現実的には生活保護基準が最低賃金を決定し、それとの比較でいろんな人の給料が定まるのだ。日本国憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定している。だから国は、「健康で文化的な最低限度の生活」の内容を定めなければいけない。それを決める機会が生活保護基準になっているのだ。様々な手当てや保障、課税が生活保護基準に連動する仕組みになっている。最低賃金もその一つだ。自分には関係がないと思って生活保護基準を引き下げろなどといきまいている人は、実は自分の首を絞めているのである。

それだけではない。最低賃金は国の根本的な経済政策を定めるものでもある。一定以上の賃金を払えない会社は、企業として成り立たないから潰れろということでもある。どのような企業も賃金さえ低ければ成り立つが、将来を考えれば、大きな利益を生み出し、高い賃金を払える企業を育成しなければならない。最低賃金がこの判定基準となって国の経済政策が決まる。

人口が1.2億人で国民総所得が600兆円もあれば、単純平均で1人年収500万円、4人家族なら年収2000万円ということになり、時給780円という最低賃金は、各国と比較しても余りにも低いといえる。政府が、生活保護費をけちって、抑えてきたために、最低賃金が低くなり、コンビニ・宅急便・外食といった低賃金に依存した企業ばかりがはびこってきているのが現実だ。日本に開発型の産業を取り戻すためには、最低賃金を引き上げねばならない。そのためには、生活保護基準を引き上げる必要がある。

風が吹けば桶屋がもうかるといった論法に見えるかもしれないが、そうではないことがおわかりだろうか。これは制度上の必然なのである。



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