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14人の若者が死んだスキーバスの転落事故 [社会]

14人の若者が命を落とすという痛ましい事故が起こった。深夜にスキー場に向けて走るバスが、反対車線のガードレールを突き破って転落したという。まだ詳しい事故の原因は明らかにされていないが、運転手の技能が十分に発揮されていたら避けられた事故であったことは間違いない。大学4年生で、就職も決まり、これからという子を亡くした親の気持ちは察するに余りある。この事件には大きな社会問題が見えかくれする。

真夜中に出発する満員のバスが国道を走っていたのは、安くスキーが出来るからだ。スキー人口は一昔前に比べて激減している。誰しも生活に余裕が無くなりスキーどころではない。携帯電話などといったものが生活必需品になり、これに毎月1万円も払えば、当然レジャー費用は無くなる。スキーに行くとしたら深夜バスに乗るしかない。

アルバイトで稼いで旅行に行くのも若者の見聞を広める手立てだった。しかし、今は旅をする若者は少ない。学費が上がり、アルバイトは生活資金に消えるのが現実だ。国立大学の授業料などは50年で100倍にもなっている。観光地はどこも根を上げる状態であり、わずかな救いを中国人、韓国人の観光客に求めているのが現状である。スキー場も次々と閉鎖されている。

深夜バスが、なぜ安いかと言えば、ひとえに運転手の低賃金によるものだ。バスの運転には資格が要る。簡単に得られる人材ではないはずだが、賃金は低い。徹夜でバスを走らせる重労働が賃金に引き合わないのは明らかだ。だから運転手のなり手がなく高齢化している。今回の事故の運転手も65歳だった。高齢者は他に雇用の道がないから、低賃金を我慢して65歳になっても徹夜で働く。

高齢になっても、人さまざまで、一律に能力が低下するわけではない。だから65歳に徹夜で運転させることも許されているのだという。だとしたら、すべての人が定年ということで年齢を理由に解雇されるのはおかしいことになる。ちなみにアメリカでは、年齢差別による解雇は禁止されており、定年制度はない。定年制度というのは、その後の生活が保障されていることと一体でなければならない。

この運転手もは、10年以上の経験を持つベテランだったが、退職し、契約社員として働いていた。そういった運転手がたくさんいる。バスだけではない。トラックの運転手も高齢化している。タクシーの運転手もそうだ。全般に、資格や修練がいるような仕事はみな高齢化している。日本の社会が技能者を養成しなくなったからだ。

本当は、こういった仕事の賃金は高騰しなくてはならない。そうすれば、若い年代にも資格を取得する意欲がわいてくる。しかし、政府は意図的にこれを抑えている。年金を削って、高齢者を狩りだすことで低賃金を維持し続けようとするのが「一億総活躍」の正体なのである。

看護士なども慢性的に不足している。徹夜勤務もあって母親には苦しい仕事だからだ。その割りに賃金は低い。介護士にいたっては非正規雇用が大半を占める。需要と供給の関係で、待遇がよくなれば自然に不足は解消されるのだが、政府がやっていることは、外国人の導入や国の介護負担削減など賃金を抑制する施策ばかりだ。実際、国の定めた賃金で介護士を雇えず閉鎖する介護施設が続出している。

景気が良くなっても、内部留保が増えるばかりで給料は上がらないのは当たり前だ。政府が賃金抑制政策を取っているのである。こういった人材が不足している分野での賃金があがれば、そこに労働力が集まり、現在、あまっている分野、工場生産や商業などの賃金も上がる。低賃金で潤っている会社の経営者と政府がそれを恐れているのだ。

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