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トランプの勝利 [国際]

米大統領選挙でトランプの勝利は、まったく予想外だった。問題発言を繰り返し、素行も良くない。多くの共和党重鎮にまで不支持を表明されていた。民主党のオバマ大統領の評価は高く、この後継者を定める選挙のはずだった。あり得ないような結果である。

投票結果を見ると、ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、シカゴなど主だった都市ではすべて7:3くらいでクリントンが圧勝している。こういった都市に本拠を置いたほとんどすべてのメディアがクリントン支持だった。トランプはどうしようもないアホと言う扱いだった。

なぜこのようなことが起きたのだろうか?トランプはこういった大都市で活躍する人々ではなく、寂れつつある田舎町などでの支持を得たと言える。かつて栄えた産業都市の白人労働者などが、トランプを支持した。メキシコなどからの低賃金労働者の流入が自分たちの栄光を奪い去ったというトランプのアジテーションに共鳴したのだ。

一言でいえばアメリカ政治の行き詰まりだ。アメリカでは共和党と民主党の二大政党制が続いている。この2つの政党は理念的には、はっきりした違いを持っており、共和党は資本家寄りで民主党は労働者寄りだ。しかし、現実の政策としては結果的にどちらも大差がない。どちらの政党も現実的にはアメリカの支配層の一角を形成しており、しっかり支配体制に組み込まれているからだ。

民主党も、共和党も同じことだ。これまで政権を取った政党は変わったが政治は変わらなかった。大学を出たエライ人たちが都会で威張り、田舎者は日の目を見ない。こういった苛立ちが、トランプの型破りな言動に引き付けられたのだ。ヒラリーは学歴のある弁護士で、いつも政治の表舞台で輝いてきた。こういった「素晴らしい人」には、もうこりごりだということではないだろうか。

オバマ大統領は民主党の筋をとおした大統領であり、健康保険や軍縮といった業績を残した。評価の高いオバマ大統領が支持するヒラリーに票が集まらなかったのは当然で、だれもヒラリーにオバマ以上のことを期待していない。大統領は8年以上勤められないから仕方なくヒラリーにバトンタッチしたに過ぎない。8年前にはオバマに負け、2番手でしかないヒラリーが候補者として選ばれたのは、その文句なく華麗な経歴によるものだ。「素晴らしい人はもうこりごりだ」という人たちに受け入れられる素地はない。

今回の選挙は、アメリカの二大政党制の限界を示すものだと言える。ラベルが違うだけの2つの空っぽの瓶を使っての政権たらいまわしは、いつまでも続かないだろう。

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