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尖閣諸島で中国が強気な理由 [国際]

尖閣諸島の問題で中国は強気です。領土問題というのはどっちもどっちで、私は特に日本の領土だなどと騒ぐ気はありません。井上清さんの論とかもあり、これに対するまともな反論はどこにも見られませんしね。
http://www.mahoroba.ne.jp/~tatsumi/dinoue0.html

ここで言いたいのは、同じ問題のスタンスが一時は中国が日本に擦り寄って共同開発とかの姿勢を大事にしてきたのに今回は強気だと言うことです。これは当然の成り行きで、多分これからどんどんこのようなことになって行くのではないでしょうか?

中国の最近の進歩は目覚ましいものがあり、一つにはもはや日本の技術を無条件でありがたがることが無くなってきたと言うことでしょう。それだけではありません、いざこざを起こせば経済に打撃が出るのですが、その場合の立場が逆転してきたと言うことの表れだと思えます。

かつては先進国日本の経済援助が必要だったのですが、今やGNPで日本を追い越し、そんな必要は毛頭ありません。逆に貿易に関しては日本の中国依存が高まり、アメリカよりも中国がまず第一の相手国になっているのです。中国から見れば日本は多くの国々の1つでしかありません。

問題がこじれて、経済関係に波及すれば困るのは日本です。日本経済が極端な輸出依存でやって来たつけがここにも現れてきたのです。中国は内需中心の経済ですから、貿易が多少滞ってもたいしたことはありません。しかし、日本は対中貿易が少しでも滞れば干上がってしまうのです。

右翼の皆さんがいきり立って騒いでいますがどうにもなりません。喧嘩をすれば中国には頭を下げるしかないのです。これは軍事力云々の話ではありません。軍備なんて実際には使えないのですからあてになりませんが経済はいつでも使える駆け引きの道具です。北朝鮮なんかを経済制裁でいじめて得意がっている場合ではないのです。

さらに重要なことは、これから、この傾向がどんどん進化むということです。日中の技術力の差は、どんどん縮まります。10倍の人口を背景に、中国の経済は日本よりどんどん大きくなって行きます。中国は問題の解決をあせる必要がありません。状況は、どんどん中国に有利になっていきます。

中国を軍事力で押さえつけようなどと言うことは、将来的にはどう考えても無理です。中国に近いという地の理を行かして、このおおきなマーケットをどう取り込むかが、日本の経済にとって最大の関心事になるのは目に見えています。引っ込みがつかないような対立を残すのは、決定的にまずいのです。

10億の人口を持つ中国が日本のそばにあり、強大な経済力を持つのはもうどうにも止めようがないのですが、それに対応して独自の豊かさを保つには本当に知恵がいります。日本はこれからのことを考えてもっと国内経済を大事にしなければなりません。軍事費をいくら使っても、にらみあいが続くだけで何の解決もありえません。毎年の膨大な出費が未来永劫に続くだけです。軍事費を切り詰めて、国内需要のもとになる賃金水準・社会福祉水準の向上に努めていくしかないのです。それなのに、消費税の増税などとさわいでいるようではまるでダメですね。
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国連事務総長の歴史認識---日本と世界のギャップ [国際]

潘基文国連事務総長が8月26日、日本の歴史認識の姿勢について問題があるとの発言をし、波紋が広がっている。日本政府の官房長官が「中立性に欠ける」などと文句をつけ、訪米中の公明党議員なども、是正の申し入れをしたりしており、事務総長の発言には多少の問題があると考えるのが常識的な見方と受け止める雰囲気が日本にはある。

しかし、日本以外のどこの国も、国連事務総長の発言を問題にする様子はまったく見られない。当たり前といえば当たり前で、国連事務総長になるような人物はまず、国際的な気配りでは万全である。そうでなければアジアの小国から出て事務総長なんかになれるわけがない。国際的な反応は十分考えて発言しているのだ。

第二次世界大戦でヒットラーや日本が「悪いことはしていない」などと言う歴史観は、相当極端な常識はずれであり、これを批判することは、少しも中立性を失うものではないというのが事務総長の判断だったし、世界の常識なのだ。日本政府の常識と世界の常識に大きなギャップが出てきている。これは問題だろう。

こういうことは実は過去にもあった。対華21ヶ条要求で世界中から非難を浴びて、日本は国際連盟を脱退した。日本としては、ごく常識的に振舞っているのに、世界は全部間違っている。こんな非常識な組織に留まっておられないというのが当時の日本だった。

日本がますます世界と隔絶して行くことがないよう願いたいものだ。





中国との戦争に負けた日本 [国際]

第二次世界大戦で日本は負けたのであるが、それはアメリカに負けただけで、中国には勝っていたなどという人がいる。桜井よし子なんて人もそうだ。平和ボケもいいとこで、戦争とは何かを解っていない。

開国による近代化が遅れた清国は、近代兵器をいち早く取り入れた日本に、青龍刀と火縄銃で立ち向かおうとしたが、明らかにそれは無理だった。日清戦争は接戦などではなく、日本の圧勝が明白だった。辛亥革命で中華民国が出来て、多少近代装備も手にいれたが、職業軍人の養成機関もなく、やはり日本の強烈な武力を防ぎ様もなかった。

武力の基盤がなく、いかなる戦闘でも勝ちようがないのだから、戦争を単に戦闘の積み重ねと見るならば負けるしかない。しかし、これで終らないのが戦争である。毛沢東は「持久戦論」で、日本軍の強豪部隊とは正面から戦うことをせず、常に弱いところに廻ることを提唱している。結果ではなく、戦闘に負けて戦争に勝つという戦略が意図されていたのだ。

国民党も、八路軍ほど徹底してはいないが、基本的には同じ戦略を取った。日本軍が、破竹の勢いで、次々に都市を陥落させたが、それは予定の行動だということになる。首都南京を手に入れて、日本軍は勝利を宣言したが、国民党は重慶に首都を移した。首都陥落で終わりにならない体制が整えられていたのだ。

このあたりは、日本と全く異なる。日本には持久戦略などなかった。一部の軍人は、たとえ東京がアメリカ軍に占領されても、地方で抵抗が続くと期待していたが、そんなことは微塵も起こらなかった。もともとそんな戦略がなかったからだ。戦闘に負けて戦争に勝つなどということは、準備した戦略が無ければ起こらない。

中国は、勝てない戦争を戦ったのではない。いくらでも退くが、降伏せずあくまで闘い続けるのが持久戦論で述べられている戦略だ。中国が満州から退けば、日本はソ連と国境を接して対峙しなければなくなる。広大なソ連と睨みあうためには、ヨーロッパの独伊と同盟せざるを得ない。そうなれば、英米との対決は必至だ。中国に必要なことは、戦闘に勝つことではなく、闘い続けることだったのだ。

戦争は空から降ってくるものではない。アメリカの参戦は中国によっ仕組まれたものである。日中開戦10年にして、日本が真珠湾を攻撃したとき、蒋介石は「これでやっと勝てた」と言った。おそらく、毛沢東も延安で同じように考えただろう。15年戦争の最後の5年がアメリカの関与した部分ではあるが、この戦争がなにをめぐって戦われたかをみれば、あきらかに中国の持久戦争の結末である。

これを見落として「中国には勝った」などと考えるのが、いかに浅はかな見方であるかは解るだろう。

このような浅はかな見方に飛びつくのは、昨今の経済状況によるものだ。明らかに台頭する中国に日本経済は押されている。現実を直視して誤りを正すべきなのだが、現実に目を瞑りたいために、「中国製品は質が悪い」ということを好んで繰り返す人がいる。こういう人が好む、GAPやPOLOの衣類は、多く中国製だ。ティファールのポットは日本製より優れているが、これも中国製だ。中国の生産技術はすでに一部では日本を上回っているが、そのうちに全面的に優れていることを認めざるを得なくなる。国内でもの作りを止めてしまって技術が保てるはずがない。1950年代には日本の製品が粗悪な安物と評されていたのを誰も思い出さないのだろうか。

地理的条件を考えてみれば解るのだが、日本は10億の人口を持つマーケットに隣接している。これを、どう取り込んで、独自の位置を占めるかが今からの日本にとって最大の関心事でなければならない。尖閣などという小さなことに目を奪われて大事なことを見落としていないだろうか。

アメリカのアジアにおける尖兵となって、中国と対峙するなどということに、一体どのような展望があるのか?そのうち、中国の生産が減って、日本とアメリカがアジアで繁栄するとでも夢想しているのだろうか?少しは現実を直視すべきだろう。

アメリカは、すでに日本の頭越しで中国と結ぼうとしている。アメリカに忠誠を尽くしていたつもりが、こけにされて、日本がすべて悪役になり、米中から見放されるときが来るかもしれない。「中国には勝った」などという浅はかな考えをしていては、到底ここから抜け出せない。


防空識別圏を争う愚かさ [国際]

中国が防空識別圏を設定したことで騒ぎになっている。防空識別圏というのは領空侵犯に対する警戒のための空域ということだ。各国は自国の外側に領海を設定して、侵入者を警戒している。領海は12海里という合意が出来ているのだが、飛行機は速いので12海里ではあっというまに飛んでくるから、さらに遠くに線引きをして防空識別圏などと称している。

空は、なにも無いところなので、いくら広げても何も得られない。防空識別圏の主張は単なる意地の張り合いでしかない。各国がお互いに広い防空識別圏を設定すれば、当然重なりが出てくる。これまで中国は、伝統的に紅軍は本土の防衛を担うゲリラ部隊であるとの意識で、防空識別圏を設定していなかった。航空兵力が脆弱で設定しても運営できないという事情もあった。それを良いことに、日本が過大な設定をしていたということだろう。中国が、新たに設定すれば、日本との重なりが生じる。

日本側の設定の仕方に問題があったと言わざるを得ない。防空識別圏は、各国が隣国に配慮して設定している。日本も、ロシアに対しては配慮して、国後択捉を避けて設定している。韓国にも配慮して、竹島は避けて設定している。ところが、中国に対しては、尖閣はもちろんのこと、かなり沖縄から飛び出して、むしろ中国本土に近いところまで防空識別圏としているのだ。

奇妙な防空識別圏の設定は実は米軍から引き継いだものだ。60年代まだ中国が航空機を持っていなかったころに、米軍は中国封じ込め戦略で、大陸沿岸地域まで、制空権を確保していた。この時代の在韓米軍と在日米軍の管轄分けが、竹島を韓国側にして、離於島を日本側にする結果をもたらした。国後などはソ連とアメリカの力関係だった。

中国軍が、航空機をあまり持っていなかったことにつけこんで、かなり強引な設定の仕方をしたことになるから、挑発したのは日本だ。中国の経済発展があって、航空機部隊を持つようになれば、重なりが出てくるのが当然となる設定の仕方だった。中国封じ込めがいつまでも続くわけはない。防空識別圏問題は起こるべくして起こったことだ。

では、これをどう解決すれば良いのか? 一番大切なことは防空識別圏を広げあうということの愚かさを認識することだろう。双方が、尖閣を避けて防空識別圏を小さくすれば良いことだ。竹島や択捉の例を幸いとしよう。離於島は韓国領であるにも関わらず、日本の防空識別圏に入っているくらいだ。防空識別圏は、領土問題とは切り離すことができる。

愚かな意地の張り合いで、いたずらに緊張を高め、貴重な国費を湯水のように浪費することはやめて欲しい。

日本のASEAN外交 [国際]

日本とASEAN諸国の会議が東京であった。安倍首相は、この会議で盛んに中国批判を繰り返した。領土紛争で反中国を煽ったし、防空識別圏問題でも中国批判決議をあげようとした。ところが、各国の反対に会ってこれは失敗した。報道の見出しでは反中国を受け入れたように書かれているが、実際の決議では、一般的な表現に修正されており、あからさまな中国非難の内容はない。

各国首脳との個別会談でも、また同じ事を繰り返し、なんとか中国批判の言動を引き出そうとした。そのために、2兆円のODA大盤振る舞いを提示したのも見苦しい。財政が緊迫しているおり、原発事故の補償も出来ていないし、社会保障も切り詰めているのに、どこにそんな金があるのか?それでも、各国首脳は色よい返事をしていない。

考えてみれば当たりまえで、羽振りが良く見える日本も、将来的に大きく発展する展望は、最早ない。財政が行き詰っていることも、やたらと軍事路線に走っていることも、非正規雇用が増えて、人口が減りつつあることも、隠しようがないからだ。今後中国の影響力がますます強くなって行くことも明らかだ。ASEAN首脳は、一時の金に目がくらんで将来を売り渡すほどバカではないということだ。

もっと、重要なことは、ASEAN諸国は、各国が弱い立場であることを認識し、共同で、日本や中国に対応する結束を強めていることだ。政治的立場の違いや、内部の紛争があることを認めながら、結束を目指して毎年1000回に及ぶ話し合いをしている。かつてアメリカ主導でSEATOという軍事同盟の元におかれていた諸国だが、そんなことをしていたら大国にむしられるだけだと悟って、SEATOは解消された。フィリピンはアメリカの軍事基地さえ撤去した。

こういったASEAN諸国の変化が見えず、旧態依然として、金で釣ろうとする外交に失敗する安倍首相の姿勢は、恥さらしとしか言い様がない。


安倍首相のニューギニア慰霊 [国際]

安倍首相がニューギニアを訪問して戦死者の慰霊碑に献花した。15万人の日本人が死んだ所だ。献花することに問題はない。だが、そのコメントは何だろう。「15万人以上の方々の犠牲の上に、今日の平和と繁栄がある」とは何だろう。まるで15万人は死んだけど戦争には勝ったかの言い方だ。

15万人が何のために死んだかと言えば、資源確保を目指した南方侵略のためである。中国を完全支配するための戦争には資源が必要だった。日本は朝鮮から中国へ、さらに東南アジアに領土を拡大したが、これは結局、八紘一宇つまり陛下の御威光を世界に広げる世界制服戦争だった。彼らはそのために死んだのである。

当人たちは、こうした侵略戦争が日本のためになると教えられ、それを信じて死んでいった。戦況は不利であったが、日本には戦う以外に道はないとも教えられた。当然、自分たちを南方に送り出した陛下や軍のお偉方は、最後の一兵まで勇敢に戦うだろうと思ったであろう。

イタリアもドイツも降伏せず、政府崩壊まで戦ったのだが、大日本帝国はあっさりと降伏してしまった。そんなことならなんで俺たちが死ぬ前に降伏してくれなかったのだ。草葉の陰で彼らの言いたいことはこれでしかない。戦う以外に道はないといわれたのは嘘だったのだ。

資源がない日本でも、平和憲法のもとで、軍事費を抑えて生産に励めば経済発展が可能であることを立証した。さっさと降伏すればよかったのだから、ニューギニアで15万人全部で300万人の犠牲は無駄だったのである。そもそも戦争自体が政府の大間違いだったのだ。

日本の首相がニューギニアで献花して言うべき言葉は、これらの戦没者に対する謝罪である。あなた方を無駄死にさせてしまって申し訳なかった。その後の65年は1人の戦死者もださず、平和に努力したから勘弁してくださいと言わなければならない。

しかし、安倍首相は、再び「戦争できる国」つくりに励んでいる。あの戦死者たちが教えられたように、国民を戦争に駆り立てられる体制を整えようとしている。秘密保護法も通したし、自衛隊の外国軍攻撃も法制化しようとしている。彼にまともな反省の言葉が言えるわけがない。

「平和を誓う」とも言ったそうだが、まるで、こういった戦死が必要なものであったかのような発言は、将来において「平和」の解釈変更を準備しているようなものだ。かつて軍部は言っていた。「東洋平和のために鬼畜米英に宣戦する」。憲法の解釈さえ自在に変更する安倍首相には、「平和」の解釈変更くらい簡単なものだ。

イスラム国人質事件ーー火に油注いだ安倍首相 [国際]

殺害予告の72時間が過ぎ、後藤さん、湯川さんの安否が気遣われる。「人命第一」と言いながら、一体何をしたのだろうか。政府が取った行動は、「人命どうでもよい」とどう違うのか?

この事件は去年に起こっている。8月に湯川さんが拘束された時には、湯川さんの身勝手な行動の結果だという世論も強かったので、政府は知らん顔を決め込んだ。後藤さんは、湯川さんとの関わりから10月に救出に向かい、自分も拘束されることになった。後藤さんは、ある意味で潔く、何が起こっても自分の責任だという言葉を残している。二人は拘束されてはいたが、特に「処刑」などと言われてはいなかった。イスラム国は、長期に拘束したあと、疑念が解ければ、釈放することもある。

湯川さんは、「民間軍事会社」を自称し、武器を携帯したりして、イスラム国と対立する自由シリア軍に加担する立場だったとも考えられるので、捕虜となってもおかしくない。日本政府の保護の対象ではないとして、身代金を要求されることはなかった。

しかし、後藤さんはジャーナリストだ。まっとうな日本国民であり、イスラム国も日本政府が保護すると考えたのだろう。11月に10億円の身代金を要求してきた。イスラム国から見れば、勝手に国境を犯し、進入した事に対する制裁は当然で、日本政府に金を要求するのは理にかなっている。もちろん、本音は軍資金を稼がねばならないことだ。イスラム国自体も死ぬか生きるかの瀬戸際で、格好をつけておられない。この時点で、処刑などという話はなかった。イスラム国は、何らかの交渉をしたかったのだ。

問題はここからだ。日本政府は、こういったイスラム国からの交渉要求に、取り合わなかった。安倍首相はイスラエルを訪問し、「イスラム国対策として、周辺諸国に20億ドルを供与する」と言明したのだ。国内では人道支援だなどと言い訳しているが、イスラム国対策だということは、英文でははっきりしている。これが、イスラム国側からの交渉要求に対する回答となる。

20億ドルをよこせというのは、明らかに、安倍発言に対する抗議だ。72時間以内に回答がなければ処刑だというのは、当然のエスカレーションではある。二人の処刑は、安倍発言によって引き出されたものだ。

人質を取って金を要求するなどということは、もちろん、まともな行為ではない。弁護する余地のない悪行である。しかし、その背景は複雑だ。事件はシリア国内で起こっているが、日本政府は、シリアに大使館すらなく、シリア政府と絶縁状態になっている。アラブの春で立ち上がった反政府軍に、早々と肩入れしてしまった。自由シリア軍は、アメリカを始めとする国外からの資金・武器援助で成り立っていた。

内戦が膠着すれば、当然、反政府の中身が問われる。西欧諸国の力関係で線引きされた国境が、現地で生活する人々に意味がないことはあきらかだ。イラクから広がったイスラム国運動が反政府の潮流の中で勢力を伸ばしていった。結果的に、シリアに関しては、日本は政府側とも反政府側とも連絡が取れない状態になってしまった。

このような状態で、「イスラム国対策として、周辺諸国に20億ドルを供与する」などというばら撒き外交をする安倍首相の外交センスのなさは、物笑いの種だ。なんでもかんでも、アメリカの尻馬に乗っておれば良いというアホさはいい加減にしてほしい。

日本は、憲法9条を持つ国として、外交に特異な強さを持てる。世界をリードする外交を展開してしかるべきなのだ。

アジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB) [国際]

中国が主導してアジアインフラ投資銀行(AIIB)というのが立ち上がる。アジア諸国がインフラ整備のために資金が要るとき資金を貸し出す。これまでもアジア開発銀行(ADB)というのがあったのに、なんでまたと言う気がする。

ADBだけでは、絶対的に資金規模が足りないという問題があるが、それならもっとADBへの出資をつのれば良い。40ヶ国以上の国々が、続々AIIBへの参加を表明しているから、資金を集めることには問題なかったはずだ。

実際に、中国がADBへの出資を申し出たのだが、アメリカと日本がこれを拒否した。ADBは日本とアメリカが主導したいと言うことで中国の出資比率が高まるのを恐れたのだ。中国が新たにAIIBを立ち上げたのは、こういった日本の態度が招いた結果である。

日本は、融資基準や組織運営の不透明だとしてAIIBには、参加しないと言っている。それでは、ADBは融資基準や組織運営に何の問題もなかったのだろうか。日本は、ADBの総裁を歴代すべて日本から出し、アジアの経済を牛耳ってきた。ADBが融資して、日本企業が受注するというパターンを繰り返してきている。

これを各国がどのように評価したかだ。融資基準や組織運営の不透明が問題になるのは、むしろADBだったかもしれない。日本は、ヨーロッパやアジアの各国にAIIBに参加しない様に働きかけた。ADBへの出資も認めず、AIIBにも反対するのでは、中国をアジア経済から締め出してしまおうとしたことになる。そんなことが出来るはずもない。英・独が参加表明すると、参加の動きは、たちまち広がってしまった。世界の判断は明確だろう。

明らかな失策である。ADBは中国の発言力を認めるべきだったし、韓国にも配慮すべきだったのだ。新興国は、どんどん力をつけてきている。それぞれの経済力に見合った権利を認めるということは、相対的に日本の発言力を削減して行くことになるが、それは自然の成り行きなのである。それが、アジア開発の目指すところのはずだ。

日本政府の根本的な間違いは、日本がアジアの一員であることを忘れていることだ。まるで日本は他のアジア諸国とは異なる、擬似ヨーロッパ国であるかの態度を取り続けて来た。今も、アメリカに取り入りさえすれば、アジアは日本が押さえられると勘違いしている。

日本は、30億もあるアジア人口の僅かな部分を占めるにすぎない。周辺諸国の信頼をいかにして勝ち取るかを考えなければならないのに、そういった努力を全くしていない。それどころか、首相が先の大戦での侵略に対する無反省を露呈するような有様である。まったく、現実が見えていないのだ。

アメリカに気に入られれば、自動的にアジアの代表になれるという時代は、もう、とっくに終わっている。


増え続けるIS邦人犠牲者 [国際]

バングラデシュで農業指導を行っていた星邦男さんが銃撃されて亡くなった。戦争法案が可決されて16日目のことだ。湯川遥菜さんと後藤健二さんが殺されたのも、安倍晋三容疑者がカイロでISIL対策として約2億ドルの支援を表明した直後だった。安倍容疑者が殺したのはこれで3人目になる。これからも犠牲者は増えていくだろう。マスコミは、イスラム国の指導者に容疑者の肩書きをつける。人を殺すことに関与しているから、肩書きは容疑者とするのがふさわしいのだと言う。ならば3人の死は、すべて安倍晋三容疑者の成せる業だ。

そもそも、この3人の死には謎が多い。星邦男さんは、農業関係者と報道されているが、農民ではなかった。どのように収入を得て生活していたかはいまだに明らかにされていない。JAICAの事業でバングラデシュに滞在していたと言うが、どのプロジェクトで、だれが主催していたかもはっきりしない。JAICAは外務省の下請け機関だ。

シリアでISに処刑された二人のことについても、謎が深まるばかりだ。これについては、ネット上に一部謎解きが披露されているから、それを整理しておこう。

湯川遥菜さんは、破産して、ホームレスに近い生活をしていたのだが、突然、事務所も開設するようになったし、海外渡航の資金も得た。一体その金はどこから出たのだろうか。判っているのは、湯川さんの海外渡航にはすべて後藤健二さんが関与していることだ。報道では2014年7月に湯川さんが自由シリア軍に拘束された時に後藤さんが通訳して釈放されたのが縁となっているが、それ以前から深い接触があったのが事実だ。

後藤さんは、短期の計画で湯川さんの救出に向かっている。後藤さんの釈放に向けて家族が英国の危機管理会社に依頼を出していたくらいだから、おそらく湯川さんの救出についても、こういったルートで、短期で解決する目処が立っていたのではないだろうか。後藤さんのシリア入りについては、外務省が3度にわたり、中止を勧告したというから、外務省は後藤さんの動きを知っていたことになる。この「目処」には外務省も関与していたことは明白だ。

湯川さんの救出を停止したのは、安倍容疑者だ。積極的平和主義で世界の強硬派となる決意を持った安倍容疑者は、湯川さんを見殺しにする方針を出した。エジプトでISに敵対するための金を出すことを表明し、後藤さんの救出作戦を頓挫させた。それだけでなく、後藤さんも拘束されることになった。

後藤さんの妻、城後倫子さんには10月にISからの身代金要求が来ていた。普通の家族なら、マスコミなどにも伝えて大騒ぎになるのだが、倫子さんは、そうはしなかった。JAICA理事長に近く、外務省とも通じている倫子さんが、外務省と対策を相談したことは疑いない。外務省は早くから後藤さんの拘束を知っていたのだ。

この問題が、世間の明るみに出たのは、ISが映像を公開してからだ。裏交渉だけを続けることが出来なくなった外務省は政府に下駄を預ける形になった。安倍容疑者の方針は、後藤さんも見殺しにすることだった。外務省系エリートとして生きる城後倫子さんは、政府の方針に従う決意をした。12月まで、拘束を知らなかったかのうような手記を書いて政府と口裏を合わせた。

冷酷無比な安倍容疑者の殺人は今後も続くだろう。紛争地で活動する多くのボランティアの命が危ない。それだけではない。南スーダンでは多くの若者が命を失うかも知れない。中国に送り込まれたスパイも見殺しにされるだろう。謎は決して解明されない。秘密保護法がそのために準備されたのだ。

中国の謀略に踊らされる安倍内閣 [国際]

謀略論が好きな人がいる。「ユダヤの謀略」とか「秘密組織の謀略」を唱え、すべてが謀略に踊らされた結果だと見る。新たな謀略論、「中国の謀略」を紹介してみよう。

中国が社会主義であったのは過去の話だ。今や統制された資本主義国として発展目覚しい。安い労働力にものを言わせて、世界中に製品をばら撒いている。今のところその製品の質には問題があり、伸長にも限界がある。当然、次なるところは、高級品、高品質の市場を狙うことだ。問題は、こういった高品質製品の市場は技術競争が厳しいことにある。競争相手の技術力を削ぐ、これが謀略の基本だ。

日本の技術力を低下させるにはどうしたら良いか?誤った戦略を取らせればいいのだ。「シムシティー」とか「信長の野望」の戦略ゲームをやってみたらわかるように、「軍事」「徴税」「福祉」のバランスが国家戦略の基本だ。この中で外国が謀略として使えるのは「軍事」だ。不必要な軍事に金を使わせて国力を浪費させると技術力・生産力が低下する。フェイントをかけて「軍事」投資に相手を誘導する。

安倍内閣は、軍拡に突き進んで、毎年5兆円もの金を軍事に投入している。この金があれば、インターネットや電話をすべてタダにして高速道路もタダにできる。交通通信のインフラ拡大は技術発展に大きな進展をもたらす。さらには、技術者の給与補助で、技術力の確保も出来る。研究費も、もっと、もっと増える。実は中国がもっとも恐れているのは、こうした日本の技術力が進み、追いつけなくなる政策なのだ。決して、内部留保で大会社を安泰にすることではない。金なら、今や中国は簡単に集められる。

安倍内閣は完全に中国の術中に陥っている。中国公船がちょっと尖閣に近づくだけで、航空機や艦船を大出動させ、何億円もの金を浪費する。戦力誇示のために、地球の裏側まで出兵するように憲法違反の法改正までした。この出兵にかかる費用も莫大なものだ。拡大する軍事費のために福祉をケチって、あげくに消費税を増税するから、ますます勤労意欲は低下する。技術力も落ちていく。中国の思うがままだ。

中国は、フェイントをかけているのではなく、本当に軍事圧力を高めているのだから日本が軍事に金を使うのは仕方のないことだ。というのが安倍内閣の言い分だ。それなら、軍事に金を使いすぎで、戦略を誤るのは中国のほうだと言うことになる。そこが謀略なのだ。実戦に使わない軍事費ほど非効率な投資はない。実は中国の狙いは日本が軍事に大金を浪費するよう仕向けることだ。
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防衛庁の資料によると中国の軍事費増加は凄い。しかし、問題は絶対値ではなく、配分割合である。経済が発展して総予算が増えればドル建てではすべての予算が増えて見えるのは当然だろう。

ストックホルム国際平和研究所が、各国の軍事費を毎年調べている。中国の国家予算で軍事費比率がどのように変化しているかも公表している。その結果を図に示しておこう。マスコミを使った「中国の脅威」の大宣伝が染み渡っているから、多くの人は、えっと驚くだろう。実は、中国は軍事費割合をどんどん減らしているのだ。安倍内閣は謀略に躍らされている。

伊勢志摩サミットの成果 [国際]

大々的な宣伝とともに、莫大な経費を使って伊勢志摩サミットが開かれた。結果としていったい何が得られたのだろうか?何もない。「お互い、いろんな協力をしましょう」当たり前の事だ。何もわざわざ伊勢に来る必要もない。しいて言えば「世界の大国と言うのは我々なんですよ」とアピールしただけのことだ。オバマ大統領のヒロシマ訪問があったが、これはサミット自体とは関係がない。

安倍内閣としては、アホノミックスの異常な手法を国際的に信任してもらいたかったかもしれないが、これは見事に失敗した。ドイツなどが、財政健全化は当然のことだという常識を手放してくれなかったので、アホノミックスを礼賛してもらいたいいう安倍内閣の願いは聞き入れられなかった。当然のことだ。

このところアホノミックスはますます泥沼に陥り、財政赤字をどんどん増やしながら、財政出動を続けるに至った。金利をマイナスにまでして、設備投資の拡大を図るのだが、企業の方は溜め込むばかりで、一向に投資しない。法人税も引き下げに引き下げ、トヨタほどの大もうけをしても、税金を払わないところまで来た。全て国民から、消費税として巻き上げれば良いという無茶苦茶な企業保護だ。

パナマ文書が暴露され、世界の大企業や金持ちが、税金逃れをしていることが問題となったが、日本の企業や金持ちは、あまり出てこない。そのはずで、彼らにとっては日本自体が立派なタックスヘブンであり、何もパナマなどに頼らなくても良いからだ。国内は、金持ちにとっても、政治家にとっても、税金逃れの天国なのだ。

税と福祉の一体改革と称して、財政危機を理由に社会福祉を切り捨ててきた。財政健全化を最優先課題にしてきたはずだった。副詞の削減が達成されたら、とたんに財政危機の話はなくなった。消費税の増税が決まったら。とたんいに、軍事費を極度に増やし、企業減税を増やし、バラマキを始めたのである。

アホノミックスは、「財政赤字は知らん顔して、企業の便宜に金をつぎ込み、当面の不足は消費増税でまかなう」というのが、その骨子だ。「企業が儲かれば、国民にはおこぼれがある」がその根本前提だ。当然のことにこれは失敗する。サミットでこの非常識を財政出動促進という形で常識化しようとする試みも敗れた。

株高は、景気循環の波にのっただけのもので実はアホノミックスとは関係がないのだが、安倍内閣はこれを頼みの綱としてきた。その株高も明らかに峠を過ぎて下降局面に入ってきた。ここで消費増税をすれば、安倍内閣はアホノミックスの失敗を認めざるを得なくなる。

政権にもう少ししがみつきたい安倍としては、消費増税を日延べして、破綻の明白化を避けなければならない。伊勢志摩サミットを口実にすることを考えたのである。世界経済が未曾有の困難に直面し、「アホノミックスはうまく行っているけど、消費増税を延期すると」いったわけのわからない口実を持ち出したのである。

財政赤字はほったらかしだし、軍事費は後年度負担まで増額しているし、社会福祉はこれ以上減らせないところまで減らしている。安倍のあとを受けた内閣は大変なのだが、すべて、安倍の個人的な政権しがみつきを優先させているのが現実だ。日本の政治は劣化のきわみだ。

トランプの勝利 [国際]

米大統領選挙でトランプの勝利は、まったく予想外だった。問題発言を繰り返し、素行も良くない。多くの共和党重鎮にまで不支持を表明されていた。民主党のオバマ大統領の評価は高く、この後継者を定める選挙のはずだった。あり得ないような結果である。

投票結果を見ると、ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、シカゴなど主だった都市ではすべて7:3くらいでクリントンが圧勝している。こういった都市に本拠を置いたほとんどすべてのメディアがクリントン支持だった。トランプはどうしようもないアホと言う扱いだった。

なぜこのようなことが起きたのだろうか?トランプはこういった大都市で活躍する人々ではなく、寂れつつある田舎町などでの支持を得たと言える。かつて栄えた産業都市の白人労働者などが、トランプを支持した。メキシコなどからの低賃金労働者の流入が自分たちの栄光を奪い去ったというトランプのアジテーションに共鳴したのだ。

一言でいえばアメリカ政治の行き詰まりだ。アメリカでは共和党と民主党の二大政党制が続いている。この2つの政党は理念的には、はっきりした違いを持っており、共和党は資本家寄りで民主党は労働者寄りだ。しかし、現実の政策としては結果的にどちらも大差がない。どちらの政党も現実的にはアメリカの支配層の一角を形成しており、しっかり支配体制に組み込まれているからだ。

民主党も、共和党も同じことだ。これまで政権を取った政党は変わったが政治は変わらなかった。大学を出たエライ人たちが都会で威張り、田舎者は日の目を見ない。こういった苛立ちが、トランプの型破りな言動に引き付けられたのだ。ヒラリーは学歴のある弁護士で、いつも政治の表舞台で輝いてきた。こういった「素晴らしい人」には、もうこりごりだということではないだろうか。

オバマ大統領は民主党の筋をとおした大統領であり、健康保険や軍縮といった業績を残した。評価の高いオバマ大統領が支持するヒラリーに票が集まらなかったのは当然で、だれもヒラリーにオバマ以上のことを期待していない。大統領は8年以上勤められないから仕方なくヒラリーにバトンタッチしたに過ぎない。8年前にはオバマに負け、2番手でしかないヒラリーが候補者として選ばれたのは、その文句なく華麗な経歴によるものだ。「素晴らしい人はもうこりごりだ」という人たちに受け入れられる素地はない。

今回の選挙は、アメリカの二大政党制の限界を示すものだと言える。ラベルが違うだけの2つの空っぽの瓶を使っての政権たらいまわしは、いつまでも続かないだろう。

安倍首相、ヘタクソ外交のひどさ [国際]

安倍首相は大の外国旅行好き。国会で案件審議のある時でさえ、首相専用機であちこちに出かける。行く先々で援助金を約束してくる。国内では金が足りず、福祉も医療も教育も切り捨てが進んでいるのに、なんということだ。それで一体何の成果があったのだろうか。

世界の大物を相手にした場合はもっと悲惨だ。プーチンに軽くあしらわれて、「進展があった」もないだろう。一体どこが進展なのだ。誰が見ても北方領土問題は、遠のいただけだ。会談の直後に千島防衛に師団を新設すると発表した。会談の結果、安倍と言うのは頭が悪くて扱いやすいと判断されたわけだ。会談はやらなかった方がよかった。

アメリカの大統領にトランプが選ばれ、ヨーロッパ各国の指導者は辛辣な論評をしている。想定外の事態には、政治哲学を示して、トランプ氏に何が正しいのかを教える姿勢だ。わが日本の首相は「論評する立場にない」などと逃げの一手だ。まともに意見も表明できないのが情けない。

大統領就任前に駆けつけて「信頼関係を築いた」だと。何の話もできていない。その翌日にTPP脱退を表明したではないか。ソフトバンクの孫正義とはじっくり話したのだから、安倍首相がいかに軽く扱われていたかがわかる。

性懲りもなく、就任後また会いに行って、ゴルフのお供だ。茶坊主もいい加減にしてほしい。トランプの飛行機に乗せてもらってそれが自慢では、もう子分のパシリ並みだ。ちっとは自尊心を持ってほしい。

トランプ氏が「アメリカ ファースト」と言っているのは自国を第一に考えることだ。安倍もお追従で「アメリカ ファースト」となってしまっては、自国のことは忘れてしまっていることになる。70万人の雇用をアメリカに持っていくなどと約束しする場合ではない。国内にほしい70万人の雇用は目途もたたないのだ。

一言で言ってヘタクソの極み。もともと首相の器ではない。

金正男殺害事件は陰謀?(推理) [国際]

金正男(キムジョンナム)殺害事件について、北朝鮮は陰謀だと主張している。疑惑否定のための単なる公式声明に過ぎないと言うのが一般的な見方であるが、確かにこの事件にはいまだに謎に包まれた部分が多く残されている。

一番不可解なのは、いまだに殺害の方法に納得の行く説明がないことだ。猛毒液を顔に塗り付けたと言うのだが、素手で塗り付けて加害者が平気だと言うのは、納得の行くものではない。こういった毒薬事件の場合、VXガスがどういうもので、どうやって死ぬことになったのかといった解説が行われるのだが、今回に関してはそれが一切ない。まるで殺害方法についての疑問に目を向けさせないようにしているかのようだ。

その次に疑問なのは殺害の場所だ。なぜ空港ロビーなどといった目立つ場所で殺したのだろう。待ち伏せした位だから、犯人たちは金正男の足取りを完全につかんでいる。一人で行動しているのだから、いくらでも、もっと目立たない場所で殺すことも出来たはずだ。銃撃とかナイフとか、オーソドックスな殺害方法が十分使える。北朝鮮に呼び返して始末することもできた。空港で殺したりしたら、大騒ぎになるに決まっているではないか。

金正男の足取りについての報道が全くないと言うのも不思議だ。彼は一体何をしに一人でマレーシアに来たのか? 身の危険は知っていたはずだ。偽名のパスポートを使っていたと言うが、もちろん当局には、ばれている。事件後すぐに実名を公表した事からもそれは明らかだ。要注意人物だから、足取りをつかんでいたはずだ。しかし、マレーシア側はそれを一切明らかにしていない。金正男の行動については触れたがらないのだ。

犯行に加わった人物の特定も素早かったし、日本から金正雄の指紋を参照したり、DNA資料を手に入れたりも素早かった。マレーシア警察の単独捜査ではなく、誰かが背後でを指導しているのは明らかだ。米CIAか英SISといった高度な諜報機関の影がちらつく。おそらくCIAだろう。日本の内調もからんでいるかも知れない。

この事件を推理小説風に検討してこれらの謎を解明して見よう。顔に塗り付けただけで死ぬようなものを素手で扱えるはずがない。おそらく、塗り付けたのは気分が悪くなり、刺激で目が見えなくなる程度のものだろう。それなら素手で扱える。本当の殺害は病院へ運ぶ救急車の中で行われたのである。救急隊員を偽装した真犯人が、手当に見せかけ、注意深く顔面に本物の毒を塗り付けた。

実行犯の女たちは何度も練習をしているが、塗り付けるのが単なる刺激性のものであれば、テレビの驚かせ番組と言っても疑われない。空港に舞い戻ってきた事からも女たちは殺人をしたと言う意識はなかったことがわかる。空港ロビーで行われたと言うことは、これが大きく報道されて外交問題になることを見越してのものだ。もちろん、これは北朝鮮の望むところではない。やはりCIAがたくらんだことだろう。

ではなぜCIAが金正男を殺したのか。金正男は金正恩と仲が良いわけではなく、むしろ対立者であった。だのにマカオで贅沢な暮らしができていたのだ。財政の厳しい北朝鮮が金正男に多額の援助をするはずがない。やはり金正男には別の資金源があったと見るべきだろう。

もともと、金正男は父親の金正日のもとで、海外資産運営を担当していた。金正恩体制になってからも、海外資産を握っていたのは金正男だ。秘密情報を握っているからすぐに粛清はされなかったが徐々に海外資産は金正恩の直轄に移されて行った。やがて身の危険がせまってくることは目に見えている。彼にとって保護を求める先があるとしたら、それはやはりCIAだろう。

金正男は多くの北朝鮮の秘密情報を握っていた。これをCIAに売っていたのだ。金正男の資金源はCIAだったのである。しかし、CIAとしても金正男をいつまでも飼っておくわけには行かない。いずれ北朝鮮に呼び返されるであろうし、そのときCIAの工作は全て暴露されてしまう。用済みになった金正男の口封じが必要になったのである。

CIAなら、マレーシアに一人で来いと呼び出すことは容易だ。あとは、朝鮮人のエージェントを使って筋書きどおりに女たちを集めてことを運べばいいだけだ。ことさら殺害事件が目立つようにしたのは北朝鮮によるCIA工作の暴露を封じるためである。CIAなら救急隊員の偽装などわけもないし、マレーシア警察には素早い捜査の援助をする。北朝鮮の仕業として発表すれば疑うものは誰もいない。

事件の謎をつなぎ合わせて、推理を組み立てて見た。これで全ての謎が解明される。あるいは、もっと面白い筋書きが考えられるかもしれない。

四島一括返還論にこだわるアホらしさ [国際]

安倍政権が北方二島返還論に軌道修正しつつある。アホ晋三がプーチンに丸め込まれたとも言えるが、二島返還論への転換はむしろ必然の帰結だ。これまで固執していた四島一括などという珍論がどこからも相手にされないしろものであるのは明らかだ。「サンフランシスコ条約で千島の放棄を表明したがロシア領にする意味ではない」ではどこの領土だというのか。

「千島は放棄したが南千島(国後択捉)は千島ではない」なんて誰が見ても「白馬は馬に非ず」というたぐいの詭弁でしかない。外交の場で持ち出せば笑われるだけだ。サンフランシスコ条約を肯定する限り南千島(国後択捉)を日本領とする主張はなり立たない。千島列島からはずれており、ロシアには何の領有根拠もない歯舞色丹と抱き合わせにする議論をするのはアホでしかない。

サンフランシスコ条約が連合国の一部だけが参加した不当なものだと言う立場に立てば話は違う。歴史的経緯としては千島樺太交換条約と言うのがある。間宮林蔵が間宮海峡を発見したことで樺太は日本領だとする主張が成り立つようになった。困ったロシアは千島との交換を申し出た。幕府とロシアが対等な立場で結んだ条約だからこれに立ち返って千島全島を日本に返還せよという日本共産党の主張は筋が通っている。

しかし、いまさらサンフランシスコ条約を改定するなどというのは全く現実性のない話だ。それに、領土は法や条約がすべてではない。千島樺太交換条約は島の住民の意向を無視して江戸とペトログラードとの間で勝手に結ばれたものだ。このため住んでいたロシア人は一部は日本に帰化し、一部は追い出されて、また戻って来ている。千島全島返還は島の帰属は住民の意思を尊重するべきだという民主主義の立場から外れている。

国境問題を解決しようと思えば、国後択捉はあきらめるしかない。歴史的に考えても択捉に最初に入植したのは赤蝦夷すなわちロシアだ。近藤重蔵は択捉に大日本の国標を建てたが、「ロシア国教会の国標を引き抜いて」と報告している。現在も多数のロシア人が住んでおり、日本領にしてこの人たちを追い出すと言うのは全く現実性がない。いまさら日本領にしたところで、住む人がなく、過疎の限界集落になるのがおちだ。

歯舞色丹はほぼ無人島だから返還で現実的問題も発生しない。実は二島返還は、鳩山一郎首相の時に日ソで合意しかかっていた。それをアメリカのダレス国務長官の訪日で無理やり止められてしまった。各国を冷戦に引きずり込みたいアメリカは日ソ平和条約を結ばせたくなかったのだ。

四島一括は平和条約をつぶすために持ち出された珍論なのであり、問題を長引かせるだけのものだ。落としどころは二島返還しかなく、二島返還ならもっと早く実現していたはずだ。アメリカの時々の意向に翻弄され、四島一括を引っ込められなくなってしまっていた歴代政権の愚を問われる問題である。
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