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謎だらけの拉致問題 [北朝鮮]

クリントン元大統領が北朝鮮に行って、抑留されていた記者二人を救い出した。なかなか見事な外交だと思う。大物の元大統領を派遣することで北朝鮮にうまく落としどころを与えて恩赦という形で連れ戻したのだ。ひるがえって、日本の対応を見てみると、まったく下手糞な外交に終始している。

そもそも何故何十年もたってから問題を持ち出すのだ。事件が起こってすぐに対応しておれば、簡単な解決もあったのにだ。拉致問題を歴史的にたどってみれば多くの謎に行き当たる。

この問題を最初に国会で取り上げたのは公明党の和泉照雄議員だが、このときは「失踪事件」としか言っていない。マスコミにもお願いし市民からの情報提供を呼びかけるべきだといった見当外れな質問だ。答える方は、遺留品が日本製でないことを認めながら、質問者に調子を合わせた「おとぼけ」を演じている。もちろん公安当局はこれが北朝鮮による拉致であることをはっきりと知っていた。

拉致問題として最初に国会質問したのは共産党の橋本敦議員になる。遺留品の出所を追及し、公安が追いかけた人物名を追及し、北朝鮮による拉致であることを日本政府が認めた。この議事録を読むと、前述したように、公安が最初からこれが北朝鮮による拉致であることを知っていたことがわかる。手錠やゴム製の猿轡が北朝鮮のものであることはすぐわかるし、金吉旭などという工作員の名前も把握して尾行までしているからだ。

なぜ日本政府は北朝鮮による拉致を隠し続けたのか、これがそもそもの謎だ。次に謎なのは拉致の目的だ。北朝鮮には日本語が達者な日本生れの朝鮮人がいくらでもいる。朝鮮総連という在日朝鮮人の大きな組織もあるのだから日本の情報はもちろんいくらでも手に入る。日本人を拉致する目的はやはり謎につつまれたままだ。3つ目の謎は解決の見通しだ。日本政府はどこに拉致問題の解決を求めているのか、落しどころがまった見えない。だから6カ国協議の他のメンバーも協力のしようがなく日本が一人浮いてしまう。

拉致問題にはこれだけの謎があり、これを解明しないことには理解できない。

なぜ拉致事件は隠蔽されたか [北朝鮮]

拉致問題には3つの大きな謎がある。事件の隠蔽拉致の目的、そして解決の目途が立たないダラダラ外交が延々と続けられている謎だ。

最初の謎である公安当局による事件の隠蔽を考えてみよう。すぐに対応しえおれば、クリントン式の解決もあったのだから、本当はこの事件に一番責任があるのは公安当局だ。拉致は20年も隠されたままになっていた。国会で追及されてはじめて北朝鮮による拉致だと認めた。事件を隠したかったのは、北朝鮮の工作員に好き勝手な行動を許す当局の甘さを追及されたくなかったからだとは思える。

しかし、政府の姿勢に大きな影響を与えていたのは1973年の金大中事件だろう。後の韓国大統領となる金大中氏が東京ホテル・グランドパレス2212号室で、韓国中央情報部(KCIA)により拉致され、韓国に連れて行かれた事件で、政府はだんまりを決め込んだ。この事件にはだれもが驚いた。白昼堂々とKCIAが日本の首都で拉致事件を起こし、密航船で韓国に連れ帰ったのである。

税関もパスポートもスルーで国家主権の侵害もいいところで、しかもそれが隣国の政府機関なのだから国際的な大問題に発展するのが普通だ。しかし、韓国の朴正煕を擁護するアメリカの要請に従って日本政府はこれを問題にしないことにした。これには政府への国民の批判が集中していた。もし、この時点で北朝鮮に抗議すれば当然、韓国にも抗議しなければならないことになる。政府は北朝鮮に対してもだんまりを決め込むほかなかったのだ。この日米韓のやりとりの詳細は未だに明らかにされていない。

当時は冷戦のさなかで、盛んに「ソ連の脅威」「中国の脅威」が宣伝され、軍備強化の理由とされていた。北朝鮮は自衛隊の10分の一の武力しか持たず、脅威としては取るにたらないものであるから、政府としては、政治的にことさらに取り上げる価値も無かった。金大中事件を沈静化させるために北朝鮮問題はタブー化していたのだ。だから、あくまでも只の失踪事件としか扱わなかったのだ。

冷戦が終わり、「ソ連の脅威」がなくなって初めて北朝鮮が政治的に利用できる悪役となったわけである。今や脅威を煽り立てられるのは北朝鮮のテポドンしかない。しかし、現実的には北朝鮮の武力は弱小で、テポドンの何千倍もの攻撃力を持つトマホークが多数配備されている日本の方がよほど大きな脅威を与えているだろう。

北朝鮮による拉致目的の謎 [北朝鮮]

拉致問題には3つの大きな謎がある。事件の隠蔽拉致の目的、そして解決の目途が立たないダラダラ外交が延々と続けられている謎だ。

2番目の謎である。拉致の目的について考えてみよう。

公式には日本語の翻訳となっているが、そんなバカな話はないだろう。日本語が達者な朝鮮人はごまんといて、日本国内には朝鮮総連という大組織もある。日本語教師や日本の情報のために拉致などはまったく必要の無いことだ。拉致の目的は何か。拉致被害者が実際に北朝鮮で何をしていたかの詳細は明らかにされていないし、質問しても「政府の聴聞に話したとおりです」と言う返事が返ってくるだけである。マスコミとの記者会見でもこの点について深く質問しないことが、暗黙の了解になっているらしい。

おそらく拉致の目的は日本人工作員の養成だっただろう。それが、北朝鮮にとって、拉致という非道な手段をつかっても、どうしても必要なことだったのだ。

その理由を説明しよう。アメリカの国防長官だったマクナマラ氏の述回にあるように、こう言うことは敵(相手)の立場に立って考える必要がある。相手の立場に立って見ることが出来なければその時点で作戦は敗北だ。私は北朝鮮を侵略しようなどと思わないし、ほかの日本人がそんなことを考えているはずもないと思うが、北朝鮮から見れば、日本は脅威に他ならない。過去には朝鮮を侵略した実績もある。日本人が急に心根を変えるはずが無いので今も朝鮮を侵略したがっているに違いない。そう本気で思っていて当然なのだ。

日本をなんとかしなければ、今に北朝鮮に攻め込んでくる。しかし、拉致が盛んに行われた1980年代の日本の状況は、学生運動も鎮まり、北朝鮮にとっては不安な時代だった。北朝鮮の10倍以上の軍備を備えた自衛隊を増強しているしが、日本の反政府勢力はどうも心もとない。共産党や社会党は議会選挙にうつつをぬかして、武装闘争に立ちあがってくれる気配も無い。共産党に至っては北朝鮮の独裁・個人崇拝を厳しく批判する始末で、まったく北朝鮮の影響を受け付けない。ここはどうしても金日成思想で武装した日本人勢力を作り上げるしかない。

これが拉致の目的だったのだ。日本人を拉致してくればその目的を達成できるようにも思えないが、それは日本で考えることだ。北朝鮮は金日成の主体思想で凝り固まっている。マルクス・レーニンを越えた思想の最高峰であり、宗教的な権威にまでなっている。これは当然、世界の指導原理になるものであり、日本に広まらないのは日本に金日成思想を学習する機会が無いからだ。拉致してきて無理やりこの思想に触れさせれば、たちまち立派な運動家になる。

そう考えるのは、北朝鮮では極めて自然な発想なのだ。現に、「スターリン主義国・北朝鮮を解体し世界革命の根拠地にする」と言っていた赤軍派のよど号乗っ取りグループは、北朝鮮に来てころりと金日成主義者に変わった。おそらく、拉致被害者たちも、多くは金日成主義者に変わったことだろう。少なくとも迎合して金日成主義者を演じていたことは間違いない。それを拒んで抵抗した人たちは死んだからだ。

日本人はヨーロッパに派遣されて、他の人の拉致の手助けをしたりしている。蓮池氏あたりは、日本に潜入して工作していたという目撃証言さえある。彼らの毎日は翻訳ではなく工作員としての訓練だっただろう。また実際に工作員として成績を出したことだろう。だから厚遇された生活ができたわけだ。一方で死んだ人が多いのはやはり工作員になることを拒否したせいだろうし、あるいは仲間から反金日成思想を密告された可能性もある。

北朝鮮側の誤算は、思想改造して金日成主義者になった拉致被害者たちが、日本に戻って、またころりと資本主義に洗脳されるとは思わなかったことだ。日本に返せば、日本国内で金日成主義の運動を展開してくれるものだとばかり思っていたから、帰国させたのに拉致被害者たちは日本政府の代弁者になってしまった。

政府と拉致被害者の密約があって、政府に都合の良いことだけしか話さない代わりに、北朝鮮でやったことの全てに対して免罪することになっているにちがいない。だから拉致被害者たちの北朝鮮での生活の詳細が語られることはないし、拉致目的の謎も解けないままになっている。すべて日本政府の思惑にしたがって、軍事力の増強に役立つ世論操作の情報だけが流されているのだ。

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拉致問題、下手クソ外交の謎 [北朝鮮]

拉致問題には3つの大きな謎がある。事件の隠蔽拉致の目的、そして解決の目途が立たないダラダラ外交が延々と続けられている謎だ。

3番目の謎である解決の方向性について述べてみよう。クリントンの訪朝に見られるようなアメリカの外交に比べて、日本の外交が下手くそなのは際立っている。この問題の解決のために行われているのが六カ国協議だ。日本と北朝鮮の問題なのだから何も六カ国も必要ないのだがあえて助っ人を頼んだことになる。韓国、米国は当然日本の肩を持つ立場なのだが、実はこれらの国も日本が何を求めているのかわからずに当惑している。

問題を解決するためには、よく話し合って理解を深めることが大切だ。しかし、日本が言っていることは制裁強化だけである。制裁はあくまでも譲歩を引き出すための手段なのだが、日本が北朝鮮に対して、どのような点で譲歩を求めているのかが判然としない。

家族会としても「横田めぐみさんが死んだ病院を訪問させろ」とか「診察した医師に会わせろ」「日朝交渉を定期化しろ」「東京に大使館を置いて対応しろ」とか要求してもいいと思うのだが、そんな気配はない。ただひたすら制裁強化なのだ。死んだといわれている人を含めて全員帰国なぞ無理難題を吹っかけているとしか思われない。ブッシュ米大統領に「いつまでそんな非現実的な要求に固執しているのか」と問い詰められ、安倍首相は二の句が継げなかったというのが同行した記者団のオフレコ情報だ。バカを続ける日本の態度は国際的にもまったくの謎だと言える。

横田めぐみさんは死んでいる。より多くの秘密を知ってしまっている蓮池氏でさえ返したのだ。北朝鮮には、めぐみさんを、ことさら帰さない理由など無い。死んでいなければ返すはずだ。こんなことは誰が考えてもわかる。安倍首相は在任中、横田滋・早起江夫妻に、「めぐみさんが生きている可能性は99%ないが、日本政府としては生存を前提に北朝鮮と交渉するから、そのつもりで口裏を合わせてほしい」と注文していたという。それでも、めぐみ死亡説発言をした役人は袋叩きにあった。合理的な考えを述べただけでもこうなるのは異常だ。

今や、拉致問題を「解決させない」ことが日本政府の目的となっている。これは「解決のための」六カ国協議と完全に矛盾する。落としどころを見出せないのは外交でもない。日本政府は外交のイロハも知らないのだろうか。

この謎を解明すれば、日本政府にとって拉致問題は完全な「内政」問題だということにつきる。冷戦が終わった世界の趨勢に反する軍事費の増強、時代錯誤の愛国心論議、これらは拉致問題・北朝鮮の脅威が唯一の推進理由である。内政には、年金や失業その他問題が山積だが、そのような問題から目をそらさせる唯一の話題が拉致問題なのである。拉致問題をいつまでも解決させないことが政府の目的とすることなのだ。

六カ国は気の毒にも、こういった日本の内政にわけもわからず付き合わされている。だから、外交としてはありえないような謎に陥るのだ。まあ、外務省というのはいまだに鹿鳴館感覚から抜けだせない時代錯誤組織なのだからそれも仕方が無い。(大使は豪邸に住み、召使や料理人をやとっている。各国王族とのお付き合いが仕事と心得ているようで、大使夫人の衣装代まで公費だし、監査を受けない交際費がすごい。)そのうち日本は誰にも相手にされないことになるだろう。
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やりすぎ「北朝鮮祭り」 [北朝鮮]

NHKは朝から大騒ぎしている。北朝鮮が「実質上の弾道ミサイル」を発射するというのだ。沖縄の上空を飛ぶらしい。自衛隊は、迎撃ミサイルを沖縄の島に展開するし、発射の場合は、非常事態通報システムを使って全国の自治体に知らせて、なんとかかんとか。

NHKによれば、米軍も、緊急事態に対応した動きになっているそうだ。しかし、このあたりで「???」と首を傾げたくなってきた。米軍のイージス艦が今日、”小樽”に入港したって、小樽は北海道だ。福岡から出航した迎撃艦のことについても報道したが、米軍の回答は「通常の定期的配備」と締まらない内容になっていた。どうも、米軍は特に北朝鮮のロケットの動きを重視しているとは見えない。

発射の後になって、「北朝鮮の国家宇宙開発局が運搬ロケット「光明星号」を打ち上げ、地球観測衛星「光明星4号」を軌道に進入させるのに成功した」と言う発表を報道した。軌道を見れば、南の方向、つまり人工衛星の打ち上げ方向で、先島諸島の端をかすめて飛んだことになる。日本に対する威嚇なら列島を横切るはずで、いかにも方角違いだ。

実は、前回も弾道ミサイルと言っていたが、結果的には人工衛星だった。人工衛星の技術と弾道ミサイルの技術は同じだから、「実質上の弾道ミサイル」という報道になったらしい。それなら、種子島から打ち上げられる日本の軍事衛星はどう表現されるべきなのだ。安倍政権は、「平和利用に限る」としていた日本の人工衛星を、法改正して「軍事衛星」を打ち上げはじめている。これこそ「実質上の弾道ミサイル」なのではないか。

方角違いの秋田県にまで、いっせいに打ち上げを緊急通知する必要がどこにあるのだろうか。種子島の軍事衛星の打ち上げは、其の都度報道されることもない。そもそも、自衛隊の迎撃ミサイルは、高々度を飛ぶ、人工衛星とは、何の関係もないし、打ち上げ失敗の場合の破片に対しても、ミサイルは破片の数を増やすだけだ。

自衛隊の配備や、通報システムの起動など、日本政府だけがやっている「北朝鮮まつり」でしかない。米軍だって冷ややかに見ている。年金にも、介護にも金が足りないといいながら、こんなところで、何百億円もの金をドブに捨てるのはやめて欲しい。国民の生活を改善する努力よりも、軍事衛星の打ち上げに狂奔する北朝鮮は愚かと言うしかないが、「北朝鮮祭り」に浮かれる日本政府もにたようなものだ。

またもや無駄遣いのPAC-3ミサイル [北朝鮮]

際限ない軍拡を指向する安倍政権は、PAC-3ミサイルを買い込むために防衛予算を増やして5兆円を超えるのだという。年金も、保育所も、介護施設も、全部足りないというのに、貴重な予算の無駄使いである。北朝鮮のノドンを防ぐためだなどとウソも甚だしい。PAC-3でノドンが防げるはずもない。

「ピストルの弾をピストルで撃つ」ようなことは難しすぎる。ネット上で撃ち落とせるなどと主張する意見も見られるが、全部いい加減なものだ。PAC-3 は、ミサイル本体のほかに、レーダーや軌道計算ユニット、通信ユニット、アンテナ、発電機までの一体となった移動式のシステムで、展開するのに1時間もかかる。ノドンは9分で到着するのだから、とても間に合わない。もちろん、常に展開しておけるような耐久性はないから、普段は格納しておかねばならないものだ。

あらかじめ、想定した時に撃ってくれて準備万端だとしたところで、やはり撃ち落とすことは出来ない。ノドンは高々度から急降下してくるので、重力の加速度により、マッハ6とかのとんでもないスピードを持っている。高々マッハ2のPAC-3に追いかけられるはずもない。

追いかけずにぶち当てるためには、真正面から迎え撃つしかないのだが、この場合の相対スピードはマッハ8つまり秒速4kmほどにもなる。これくらいのスピードになるとPAC-2で使われたような近接爆発では破壊できず、直接ぶち当てなくてはならない。PAC-3は直径10㎝位のものだから㎝単位の精度が必要になる。

1秒後4km先の5㎝を狙う軌道修正は難しい。そもそもレーダーにそんな精度はない。PAC-3のデモンストレーションで当たったとか宣伝しているが、全部、もっと遅いミサイルを標的にしたものだ。当てられるために、予想通りの軌道を正確に飛ばす努力の結果でもある。4kmの間には、気流の変化もあるし気温の変化もある。ましてやちょっと舵でも切られたら、当たりっこない。したり顔に数式を示したりして「当たる」と主張する軍事オタクサイトが多いのだが、精度の議論がすっぽり抜け落ちている。

ノドンに舵を切って迎撃ミサイルをよける機能はないという。確かによけながら正確に目標に到達するのは高度な技術で、そう簡単に北朝鮮が装備できるはずはない。しかし、よけるために舵を切るだけなら簡単なことだ。行き先を考えずによけても、霞が関などといった大きな目標物なら必ず当たる。PAC-3 の射程範囲は20kmにすぎない。もともと基地防衛つまり反撃用ミサイルを守ることしか想定していない。大きな目標物をねらうミサイルは防ぎようがなく、ミサイルによる都市防衛などありえないのだ。

イージス艦とSM-3の組み合わせによる迎撃も似たようなものだ。計算でノドンの軌道を計算して、来ると思しきところに先回りして飛ばすのだが、正確に軌道を計算するには時間をかけてデータを得る必要がある。行き先が浜岡原発なのか霞が関なのかを判断するにも数分くらいはノドンの軌道を追いかける必要がある。とりわけ、ロケット噴射をしている最初の段階では、いくらでも行き先が変わるから計算の仕様もない。残りは数分しかないのだが、それでも、うまく行けば、計算上はノドンが目標にたどり着くまでに出会うことはできるようだ。これも途中でちょっと舵を切られれば計算の精度は失われてしまう。

そもそも軍事に都市防衛はない。あるのは反撃兵器防衛だけだ。至近距離からの都市攻撃は防ぎようがない。近隣諸国とは争いを起こさないこと以外に国民の命を守るすべはないのだ。破れかぶれのミサイル発射に追い込むことだけは絶対に避けなければならない。交渉のテーブルに着かせるには、まず国交を樹立しなければならないのは当然だろう。すでに鎖国状態になっていて効果のない経済制裁などはむしろ逆で、日本製品への依存度を高めて、共存こそが生きる道だと思い知らせなければならない。

国民の生活を犠牲にして、多額の予算をドブに捨てる。馬鹿な話が横行しているのはなんとも情けない。PAC-3は極めて値段が高い。なんでも特注にして値段を吊り上げ、コンピュータもwindowsなんか使わないそうだ。それが24bitの6MHzCPUであると書いてあったのにはあきれた。スマホ以下だ。

朝鮮戦争の歴史 [北朝鮮]

核開発を誇示して世界の嫌われ者になるし、ミサイルは打ちまくる。バカじゃないかと言われているが、金正恩は案外賢いのではないだろうか。北朝鮮にとって一番大切なことはアメリカに先制攻撃をさせないことだ。イラクのフセインはこの戦略を誤ってアメリカに攻撃させてしまった。化学兵器の存在を疑われ、それが侵攻の理由になった。今ではこれがアメリカのウソだったことが明らかになっているが、フセインはむきになってこれを否定した結果、世界はアメリカの侵攻を容認してしまったのだ。

北朝鮮は、逆にアメリカを脅している。核実験を繰り返し、反撃用のミサイルを誇示し、北朝鮮の滅亡は近隣諸国を道連れにすることを強調している。これでは周辺諸国にとばっちりの被害があれば、アメリカの責任になる。アメリカを経済制裁の方向に誘導しているとも言える。経済制裁に腐心して、諸国を説得すればするだけ軍事侵攻はやりにくくなる。経済制裁に協力しろは軍事攻撃をしないという言質と引き換えになるからだ。イラクの時は経済制裁などということがなかったからアメリカの対応が仕方のないものに写ったのである。

北朝鮮がアメリカの先制攻撃をそこまで恐れるのは理由がある。ミサイルを撃ったりしなければ、アメリカの攻撃も経済制裁もないのにとは考えない。なぜなら朝鮮戦争は終わっておらず、休戦してはいるがまだアメリカとの戦争中であるという認識だからだ。そもそも朝鮮戦争はアメリカが海を渡って朝鮮に攻めてきた戦争だと考えている。まあ、歴史的にみればこの見方は正しい面もある。

第二次世界大戦が終わり、日本が朝鮮半島を放棄したあと、4、5年は国連の信託統治下に置いて独立の準備をさせようと米ソは考えた。38度線を境界に米ソが治安を受け持つということで合意した。しかし、これは朝鮮を見くびっていたとしか思えない。もっと文明的には遅れたフィリピンでさえ戦後すぐに独立だから、朝鮮の人たちがそれに満足するはずがない。

日本の撤退と同時に「朝鮮人民共和国」の立ち上げが始まって、日本の朝鮮総督府は権限の委譲を承認した。今見れば名前からして共産主義風だが、まだ中華人民共和国もなかったから「人民共和国」にそのようなニュアンスはなく、実際、右翼から左翼までオール朝鮮といった構成になっていた。翌年の4月には選挙を行い正式な政府を樹立することが予定された。いち早く朝鮮に進出したソ連もこれを認めた。

ところがである。9月になって朝鮮に上陸したアメリカはこれが気に食わなかった。米軍は日本を軍政下に置いたのだが、朝鮮半島の38度線から南もこれに含めようとして、南朝鮮を米軍の軍政下に置くことを一方的に宣言した。新政府樹立のための「人民委員会」が各地で組織され、自治が始まっていたから、米軍の軍政部と二重行政になってしまった。米軍は人民委員会の解散を命令し、選挙も中止させた。米軍は朝鮮人民共和国を38度線より北に追いやったのである。

アメリカとソ連が38度線の南北を占領して、それぞれに北朝鮮と韓国を作ったと思っている人が多いが、子細を見るとそう単純ではない。人民委員会は北ばかりではない。済州島にもできて、これが何万人もの死者を出しながら一番強力に米軍に抵抗したという事実がある。南の端にあるからソ連が影響を与えたわけではないことはわかるだろう。朝鮮人民共和国に配慮してソ連軍は朝鮮半島から撤退した。

アメリカ軍は李承晩に「大韓民国」を組織させ38度線から南だけで選挙を強行した。これに対抗して北では「朝鮮民主主義人民共和国」が出来たのだが、この時はまだオール朝鮮の「朝鮮人民共和国」を引き継いだものだった。朝鮮から見れば攻めてきた米軍に南半分を取られたという意識で、これを取り返すために米軍に戦争を仕掛けたのが朝鮮戦争である。ソ連軍は撤退していたし、韓国はまだ名目だけのようなものだったから朝鮮軍対米軍の戦争になった。

ソ連から武器の供給を受けたこともあるが、北朝鮮は強かった。一時は米軍を釜山まで追い詰めた。日本の帝国陸軍は実際のところマッカーサーには負けてばかりで、一度として米軍を押し返したり出来なかったことを考えると北朝鮮の士気がいかに旺盛だったかがわかる。アメリカの侵略に反撃するという大義があったのだ。

しかし、米軍は増強され、仁川に逆所陸して形勢は逆転した。今度は逆に米軍が38度線から北に攻め込んだ。朝鮮全土を平定しようとしたのである。ここで米軍が中国にも侵入するのではないかとの懸念から中国が「義勇兵」を朝鮮に投入して38度線まで押し返すことになった。勝手に38度線を越えて進軍したことでマッカーサーは失脚した。北朝鮮は大日本帝国にも出来なかったマッカーサー軍に勝つという偉業を達成したことになる。これが今の北朝鮮の強気につながっている。

38度線で休戦協定が結ばれ、南北の朝鮮はそれぞれの道を歩み出した。韓国は独裁政権や軍事クーデターといった紆余曲折はあったのだが、経済発展を経て民主主義が育つようにもなった。オール朝鮮だったはずの北朝鮮は、朝鮮戦争の戦時体制の中で強硬派が力を持つようになった。リベラル派は粛清されるようになり、金日成の独裁になっていった。歴史は必ずしも大義が正統とはならないのである。

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北朝鮮の未来 [北朝鮮]

核実験やミサイルで世界の嫌われ者になっていた北朝鮮が一転して平和主義を打ち出すようになった。米朝会談でも南北会談でも「我々に核やミサイルはいらない」と明言している。唖然とするような変身ぶりで、制裁解除のための方便だとする見方も根強い。しかし、北朝鮮は確かに非核化の道を歩み始めている。なんとしても制裁を解除してほしいという態度は見せていない。自らの方針として武装解除を宣言したのである。

北朝鮮は朝鮮戦争以来、ずっと戦い続けてきた。国を守るためには軍事力を強化するしかない。国力に見合わない核兵器開発のために国民生活は多大な犠牲を強いられてきた。しかし、北朝鮮の軍事力など大国から見れば物の数ではない。武力で国を守るなどと言うことに展望が見えなくなったのは事実だろう。

金正恩が、世界の政治問題がもはや軍事力で決着する時代でなくなった事に気が付いたとすれば、それは卓見である。アフガニスタンにせよシリアにせよ強国が弱小国を下して問題が決着する時代でないことは明らかだろう。軍事力によるパワーポリティックスはもはや過去のものになった。アメリカも自ら核廃棄をする国に攻め込むことは出来ない。そう読み取ったのならば、軍事費の増強ばかりを考えるアホ晋三なんかより、はるかにスケールの大きい政治家だ。

北朝鮮が軍事から民政に方向転換して、果たして展望があるのだろうか。北朝鮮は経済制裁を受けて久しいが、この間、年3.9%のGDP増加を維持している。これは非常に大きな経済成長ではないが、多くの開発途上国ににとってはうらやましい数値だろう。これが方向転換に踏み切る自信を与えたのだと思う。

アフリカや中東の多くの国は、経済の立ち上げに苦悩している。資源を持ちながらも、それが活用できない。どの国でも、工業化はまず、雑貨や繊維などの軽工業から始まるのだが、近年はそれが難しい。先進国が大量生産した商品が安価で流れ込み国内でこういった軽工業の立ち上げが起こらないのだ。いつまで経っても観光しか売りがない状態が続くエジプトで起こった観光客に対するテロなどは、そういった状況に対する若者の苛立ちをしめすものだ。

日本は江戸時代の鎖国体制により、何でも必要なものは国内生産することになった。鎖国で培われた技術、文化の蓄積が開国後に一気に花開いたのである。現代はあまりにも運輸・通信が進み、低レベルからの産業の立ち上げが出来なくなってしまっている。できることなら、しばらく鎖国するのがむしろ望ましいのだがそれは出来ない。北朝鮮に対する経済制裁は実質的には鎖国状態を作っている。北朝鮮では、ミサイルを作るために、ネジ作りから国産が行われた。石鹸も衣類も、輸入でなく国産が行われ、これが軽工業を立ち上げさせ、一定の経済成長と技術蓄積をもたらせているのだ。

北朝鮮には将来的な資源の展望もある。鉄鉱石と石炭が国内にあることが大きい。これはイギリスで産業革命を引き起こしたものだ。普通に貿易ができる国の場合、資源があっても今の時代に鉄鉱石と石炭の産業は起こせない。洗練された外国製品の流入に太刀打ちできないからだ。しかし北朝鮮は鎖国状態に置かれることで産業革命をやることができる。北朝鮮は経済制裁を産業の立ち上げ、経済発展に利用することができるのだ。

独裁政権と言うのは国民には苦痛だが、経済発展にとっては必ずしも害悪ではない。決断が早く一部に生じる不満を押さえつけることが出来る。イラク経済はフセインの元でそれなりに発展していたのだが、「民主化」で潰れた。中国の急速な経済発展もいわば独裁政権のたまものだ。旧ソ連はスターリンの独裁のもとで目覚ましい発展を遂げた。

これまで軍事に使われていた開発力を強権で民生に回せば、確かに工業発展が期待できる。しかし、豊かになった国民は必ずさらなる豊かさと自由を要求するようになる。金正恩が民生重視転換で国民の満足を得られるのが早いか、国民の意識向上で批判が高まるのが早いかどちらかである。

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