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消費税増税で財政はさらに悪化する [政治]

消費税で財政再建はできない

消費税を引き上げるこで財政再建ができるようなウソが振りまかれている。実際には消費税を増税しても財政再建は出来ない。

考えてもわかるように、もともと健全な財政運営が出来ておれば、赤字が累積するようなことはない。収入に見合わない支出をしてしまうことが赤字の原因なのだ。この体質を変えない限り、収入が増えればそれだけまた支出を増やしてしまうから結局同じことの繰り返しになる。

借金で首の廻らない人がいるとする。この人の給料を5%上げれば、その5%を使って借金を返していくだろうか?おそらく、支出を増やすだけだろうと考えるだろう。国についても同じことだ。消費税を増やしても決して財政は再建されない。

実際はもっと悪くなる。なぜかというと消費税の引き上げで自動的に支出も増えるのだ。八つ場ダムの建設費は当然5%増えるし、米軍基地の移設費用も当然5%増える。増税分だけ見入りが増えると思ったら大間違いだ。国民の消費支出のほうは増やしようもないから5%減らさざるを得ない。当然経済は冷え込むから、消費税収入も減る。結局、財政再建にまわす資金はなどどこにもなくなる。

それだけではない。浪費体質は引き継いだままだから、増収を当て込んだ支出が増えるのは明らかだ。すでにもう増税分の山分けを省庁間で議論している。結局、財政はさらに悪化するだろう。

財政再建に本気で取り組むには従来聖域とされてきた分野での削減をしなければならない。それをやれば体質が変わったことになる。重複無駄を省くとか、社会保障をケチるとか、下級公務員の給料をケチるなどと言うことは十年来言い古されており何等体質を替えることにはつながらない。

聖域とされてきたのは、軍事、皇室、政党助成金、米軍軽費である。これをがっぽり削減するならば、浪費体質は一掃される。逆に言えば、これらを温存するという体質そのものが財政悪化の原因であるから、いくら増税しても焼け石に水だということだ。

はっきりと予言しておこう。消費税の増税で余計に財政は悪化する。

政治家としての最低の条件 [政治]

政治家は人格高潔で、実行力があり、人のために尽くす気持ちが強い人であって欲しい。しかし、今の状態を見るとそんな望みを持つには程遠い。政治家に多くを望むのは無理なことはわかっている。だから最低の条件はいったいなにかというと、「あからさまなウソを付かぬこと」と言える。正直にしろといっても無理だろう。私腹をこやすなといっても無理だろう。カネまみれになるなと言っても無理だろう。せめてなんとか言い訳をして繕えるウソにしてほしい。これは本当の最低条件だ。

野田首相は選挙のときに何を言ったか?

「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです」

こういって民主党のマニフェストを売り込んだ。鳩山もマニフェスト違反で沖縄問題でミソをつけた。しかし、彼はその責任を取るように辞任した。ところが、野田首相はもはやマニフェストのことなどおくびにも出さない。選挙の時の発言はそんなに軽いものなのか。

消費税についてはなんと言っていたか?

「消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。鳩山(由紀夫元首相)さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこなんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです」

天下りは野放しのままだし、この発言からはどう考えても今消費税を上げるという施策は出てこないはずだ。ところが野田首相はこれを平気で押し進めようとしている。

非正規雇用の問題解決はマニフェストの大きな柱だったはずだが、全くの現状維持になった。マニフェストに書いてあることは何もやらず、書いてないことを次々とやる。これではもはや野田氏が何を言ってもまに受けることはできなくなる。預貯金ゼロと申告しながらタンスに4億円入っていたと居直る人と同じく、国民としては全く信用できない。

公約をもとに有権者が判断するのが選挙制度の基本だが、これでは、選挙制度自体が成り立たなくなる。こういった政治家としての最低条件を満たさない人には即刻退場してもらいたいのが率直な気持ちだ。

再雇用で年収924万円なんて [政治]

サッカーくじ(toto)からの助成を受けた個人が、競技団体の助成金負担分相当の金額を寄付の形で戻していた問題が新聞に載った。toto自体の問題もあるのだが、言いたいのはニュースの端にあった給与のことだ。

>日本カーリング協会の事務局長を辞めた10年度から、totoの
>「マネジメント機能強化事業」を受け、協会の国際関係の仕事に
>携わってきた。10年度は総額924万円の助成を受けたが

と言うところで、定年退職後に再雇用で年収924万円と書いてある。普通ならあり得ない話だ。これを公務員の給与に準じていると考える人もあるかと思うがそうではない。国家公務員の給与は人事院勧告で示されているが、年収900万円は部長級に当たる。決して平均的な公務員に到達出来る金額ではない。公務員の再雇用は給与が半分以下になるから、かなりの幹部でも、再雇用となれば年収500万円がいいところだ。

これは「天下り」に類するものだろう。貧乏なカーリング協会においてすらこうだから、裕福なサッカー協会や野球協会ではどんな高給がむさぼられているか押して知るべしだ。外郭団体への天下りが税金の多くを蝕んでいる。公務員バッシングで下級公務員ばかりが槍玉にあがっているし、橋下知事などはパフォーマンスとして盛んに賃下げをやって見せているが、お門違いだ。

そもそも今の官僚たちは、行政改革で出世してきた行革官僚である。公務員バッシングに対しては万全の耐性を身につけている。天下り組はいくら公務員が叩かれても痛くも痒くもない。いやむしろ、公務員を減らすという名目で今もどんどん天下りの外郭団体を増やしつづけている。行革が進めば進むほど見入りが大きい連中なのだ。

「天下りを防ぐのが先決で、それまで消費税を上げない」と言って登場した民主党政権もものの見事に丸め込んだ。行革官僚恐るべし。

辺野古アセスに天下り [政治]

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)関連事業で、防衛省が2009年度〜11年度に発注した全13事業を受託した4社に同省OBが天下っていることが25日、分かった。契約金額は計約35億7千万円に上る。

またまた軍事費の無駄使いである。そもそも軍事費というのは、戦争がない限り何の成果も出さない支出だから平時には無駄使いの塊のようなものだ。すぐに軍事機密だと称して隠せるから昔から数々の汚職にまみれている。

今回は、アセスの内容が当然防衛庁よりに傾くことが問題にされているのだがそのまえに金額を見て驚くべきだろう。単なる調査で、結果は紙切れでしかない。どれだけ綿密に調査をしたとしても、35億円はないだろう。

現地調査にアルバイトを雇うと3年間毎日1000人もの調査員がいた事になる。もちろん調査船の費用とかいろいろあるだろうが、あまりに高い。報告書が7000ページだと言うが、それでも1ページ50万円の作文だ。

これが入札ではなくプロポーザル方式の随意契約で行なわれた。競争無しだからいかようにでも金を取れる。ひどいものだ。消費税を上げる前に、この無駄使いの塊である軍事費を何とかしてもらいたい。
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TPP--アジアの成長力を取り込む? [政治]

TPPをめぐる議論が行われているが、反対論は、食料主権だとか、医療制度の問題とかいろいろ挙げられているが、賛成論が、どうもはっきりしない。工業製品の輸出には関税が安いほうが有利だというのはわかるが、その関税がもうすでにほとんど無くなっている。いまさらTPPに参加してところで意味は無いのだから賛成論の論拠にはならない。

賛成論の中で、時々出てくるフレーズが、「アジアの成長力を取り込む」というものである。TPPでそのようなことができるのだと言う。具体的にどうなのかの説明がないとこれは理解できない。

言うまでもなく、アジアの多くの国々は発展途上であり、外国の資本を受け入れて、安い労働力を供給しながら、工業生産力を高めてきている。これが「アジアの成長力」というものだろう。最近では安い労働力と言うより、安い技術力になってきている。

TPPで、まるで国境が無いかのように、自由な企業活動ができるようになると、確かに資本をアジア諸国に投入しやすい。つまり、「アジアの成長力を取り込む」というのは、工場をアジア諸国に移転するということだ。

企業は、アジアの安い労働力を使って、生産をすることができて、国内と同じように、別工場の部品を組み合わせられたら、コストダウンが実現できる。他の会社との競争にも勝てそうだ。企業にとってTPPは魅力的だ。

だがしかし、工場を海外移転して、日本の従業員はどうなるのだろう?TPPで海外移転が、ぐっと自由になれば、多くの会社がやるだろうから、海外移転しない会社はコスト高で競争に負ける。

国内で生産を続けるなら、派遣を使って徹底的なコストダウンをやるほか無いし、正社員も賃金を下げるしかないだろう。会社は海外生産で利益を上げられるが、従業員はたまったものではない。

「アジアの成長力を取り込む」というフレーズも正体がわかってしまうと、労働者としては、賛成の論拠ではなく、反対の論拠になってしまう。

大阪都構想と二重行政 [政治]

橋下市長の大阪都構想というのが話題になっている。府と市の二重行政の弊害で、なかなか大阪活性化の政策が実現できないというのだ。どんな政策かと思ったら、関空から梅田への直通地下鉄とか湾岸の高速道路とかの建設が並んでいる。こんな古い手法で大阪が活性化するとは思えないが、できない理由が二重行政のためだというのが、一般人には、さらに理解できない。

大阪市が、これらの政策に反対しているわけではない。道路や路線のルートも同じことのようだ。いったいどこで意見が別れて二重行政の弊害が出てくるかと言えば、どうも最終段階であるはずの「どの会社に発注するか」で分かれるらしい。

物事の順序は逆で、まず、どの会社が工事を引き受けるかが決まらないと、細かい仕様や予算見積もりが出来ない。きめ細かな予算案を作らないとなかなか国の補助金の折衝もまとまらない。そのため、接待宴会を繰り返して、おおまかな構想の段階で、発注先の合意をまとめていく。これがプロジェクトを始動するには不可欠なプロセスなのだそうだ。

もちろん、合意の決め手は接待だけではない。選挙資金やパーティー券の購入など様々なコネの太さが総合的に作用する。ところが、これが府と市に別れていては、選挙の次期も変わるし話が全くややこしいことになる。発注先の合意を取るのが大変で中々進まない.。したがってプロジェクトが実現しないというわけだ。

なんとも、まあ、馬鹿馬鹿しい話ではある。

河村市長の南京発言の原因 [政治]

名古屋の河村市長が南京大虐殺は無かったなどと発言して物議をかもしている。南京で虐殺のあったことは、目撃者も記録もあって否定しようもないのに、どうしてこういったトンデモ発言を繰り返すのかを考えて見よう。

こういった人たちは、資料を読んだりして自分で物事を見ない。騒ぎがあれば聞きつけて便乗する人たちだ。河村氏も、名古屋市の職員給与が法外に高いと決め付けて給与削減をしているが、別に調査をして判断したのではない。世に言う公務員叩きに乗っかっただけだ。ネット右翼が騒げばそれに引きずられて発言してしまうのだ。

あとから、中国側の大きな反応に慌てて、軌道修正する。しかし、本音は変わっていないので謝罪には至らない。まあ、中国にしてみれば、日本で言えば「原爆の被害なんてたいしたことは無い。原爆がなければもっと死んでいた。」に類する発言だから、よほど気をつけてでなければ言えないことなのだが、認識が足りなかった。

河村氏が鵜呑みにしてピエロとなった右翼論調も、確実な証拠を挙げられて、何度も論破されており、外務省の公式見解も南京大虐殺の事実は認めざるを得ない表現になっている。こういった右翼は、もちろん史実を見ない。「皇軍が非道なことをするはずが無い」と信じるのみだ。

事実をいくら指摘しても、信念の目で見れば史実がすりかわる。当然ながら、混乱の中で、大虐殺の人数ははっきりしない。そうなると「30万人虐殺の根拠は無い」ことになり「虐殺の根拠は無い」にすりかわる。、30万人であろうが3万人であろうが、大虐殺には変わりない。あの東北大震災の全死者ですら2万人だ。

従軍慰安婦のときはもっと酷かった。「元慰安婦の証言に矛盾がある」「公式記録がない」から、「従軍慰安婦は一人もいなかった」になった。これを真に受けた発言をした安倍首相は盟友と思っていたブッシュに「アホか」と怒鳴られ、退陣に至った。日本軍はもちろん公式記録を焼却したし、思い出したくも無い60年前の記憶があやふやなのは当然だ。南方での裁判記録など確実な証拠だって提示されているが、信念により「従軍慰安婦は一人もいなかった」が繰り返された。

こうした摩り替わりを補強するものが、聞きかじりの「事実だ」三陸に親戚があるが誰も死んでいない。「死んだのは欲どおしくて、逃げる判断を間違った奴らだ」なんてことを平気で言うやからがいるものだが、愛国右翼はこういった発言にしがみつく。南京で死んだ人たちを悪人に仕立て上げて、皇軍無謬とつじつまをあわすのだ。

信念で凝り固まった右翼の台頭も、今の日本ではやむを得ない所がある。日本は、長らく極東の三流国だったのが、経済成長期とバブルで一流国のバッジをもらってしまった。それが、今また凋落しつつある。過去の夢が忘れられない現実逃避が右翼的信念となって沈殿しているのが現状だろう。

橋下政治の新しさの古さ [政治]

橋下大阪市長の政治手法に共感する人がかなりいる。確かに、橋下氏の手法は従来の保守政治家のイメージを一新するものではあった。従来の保守政治家のイメージと言えば、一言で言えば「おっさん」である。演説は原稿の捧読み、料亭工作に明け暮れ、ダブルの背広を着込んではいるが、土建屋丸出しの品性の無さが定番であった。

若々しく、弁舌が巧みで、茶髪などの外見もこういったステレオタイプとは、かけ離れたものだったし、物事を決める果敢な決断力は相当なものだと受け止められた。政策的にも「大阪都」などと目新しいことを掲げるし、何かやってくれそうな期待が高まったのもうなずける。

しかし、結局知事として市長として何をやったのだろうか?思想調査まがいのことをやって騒ぎを作ったり、給与引き下げたり、文楽や上方芸能の補助を止めたりしたが、結局の所大阪の財政事情は全く改善していない。大阪の人たちには何の恩恵も無かったことになる。考えて見れば当たり前で小役人の給与や文楽補助金など小さなものだ。大所である公共事業を増やしているのだから財政の改善など出来るはずも無い。

大阪都にしても、区役所に東京23区並みの機能を持たせればそれだけ費用はかさむ、道州制などというものはさらに積み重ねが大きな3重行政でしかない。地方交付税を無くして、消費税を地方財源にするなどは、とんでもない消費税の増税になる。こんなことで地方が活性化するわけがないだろう。

年寄りは恵まれ過ぎており、世代間格差を無くすために年金を切り下げるなどと言うのもおかしい。今制度を変えるとして、年金切り下げの影響を本格的に受けるのは今の若い人たちが年を取った時だ。ますます世代間格差は広がることになる。

意表をつくようなアイデアも見せたかに見える。貧しい家庭の子に塾の補助金を出すというのもその一つだ。新しい感覚とも見えたが、これは実際に実行して、失敗だったという。1万円の塾代バウチャー位で塾通いが続けられるはずもなく、応募者が少なかった。生活が大変な家では塾通いどころではないという現実が橋下氏には見えなかったのだ。橋下氏の新しい感覚は偽者だった。

橋下氏の新しさは機能しない。つまらない話だが不倫報道を見て納得できたような気がする。橋下氏は結局のところ「浮気は男の甲斐性」と考える古い思想の持ち主だったと言うことだ。ホステスとの不倫もこれ一つだけではないだろう。新しいのは外見だけで、実は典型的な保守政治家の「おっさん」だったわけだ。

維新の会の船中八策はきっちりと文章化されていない。あくまでも骨子であいまいな所が多い。「使いきり」を強調するが相続税の増税とは言わない。内需拡大で消費した分には課税しないといいながら、消費税を増やすのも矛盾だ。

自立を強調し、弱いものへの配慮を拒否する割には、負の所得税などといった所得の再配分が入っている。このあたりの矛盾する公約は、反原発と同じ単なる見せかけなのではないだろうか。当初、反原発を言っていて、結局は大飯原発の再稼動を容認した経過からもこれは当然推測される。政治資金についても次第に後退している。パーティー券の大量買い込みで利権会社から金をもらいだした。結局のところ橋下氏はおっさんであり、古い保守政治家と同じ弱者切り捨ての発想がこのおっさんの本音だろう。


自民・民主の密室談合 [政治]

消費税と引き換えに解散を要求する自民、解散を先延ばしにしたい民主。 折り合いがつかず消費税審議がどうなるか先行き不明になった。他の野党が不信任案を出すのだから、自民党は不信任にこれに賛否を問われる。否決すれば野田内閣信任ということになり、解散要求は筋違いになってしまう。ところが、何の変化もなく、不信任を否決して決着。一体何があったのだろうか? 中身は想像するしかない。

野田:やあ、谷垣さんどうも。 三党合意なんだから消費税通してくださいよ。

谷垣:言ってるでしょ。 早く解散の期日を明示してくださいよ。

野田:一日でも長く総理の椅子に座れば実入りも多いんですからもうちょっと。

谷垣:だったら不信任賛成に廻るよ、困るでしょう。

野田:自民党だって消費税は早く上げたいでしょ。つぶれたら財界に怒られますよ。

谷垣:ま、そうだけど。 でも、野党じゃ、うまみがなくてね。

野田:沖縄基地、消費税、原発。みんな自民党のやりたいことやってあげたんですよ。

谷垣:だからここまで首相やらしてやったじゃないか。そろそろ交代してよ。

野田:どうせせ選挙で民主党は負けるんだから、もうちょっといいじゃない。

谷垣:じゃあ、早いうちに解散ね。

野田:そういうことにしとこ。 自民党政権になったあとの僕のことも考えといてね。

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その後の経過を見るとどうも谷垣さんは野田さんに騙されたのではないだろうか。
自民党の政策をそのまま実行してくれている民主党政権に谷垣さんとしては何の
不満もない。ただ単に自分が首相になりたいと言うだけのことだという弱みが
結果となって現れたと見るべきだろう。

法人税引き下げでダメになった日本経済 [政治]

アップル社の株価がすごい。ipodからiphoneさらにipadとヒット商品が続出だから無理もない。問題は何故日本企業がこうした製品を開発できなかったかだ。ウオークマンやファミコンを生み出した日本の企業の先進性は何処へ行ったのだ?大型液晶画面では韓国のサムソンにさえ遅れをとる有様だ。

答えは簡単だ。政府が法人税を引き下げて企業を甘やかしたからだ。とにかく財界の言うことならなんでも聞く政府がずっと続いている。法人税はどんどん引き下げられて消費税に替えられていった。この10年、企業は開発投資を以前のようにはやっていない。リストラなんかで人件費をちょこっと引き下げれば確実な利益が出て、法人税が少ないからそれでも十分やって行ける。この間、発展した産業は何かと言えば、外食産業や人材派遣、宅急便など、いずれも安い労働力を使って、そのピンはねで潤うような事業ばかりだ。

危険を冒して新製品の開発に賭ける必要がないし、そんな事をしていたら確実に利益を挙げる会社の傘下に繰り込まれてしまう。どの会社も開発部門を縮小して、こじんまりと目先の利益を追求するようになった。リストラ、非正規労働化が研究開発にとって変わった。そのつけが廻ってきている。

もちろん研究開発費に対する税の減免などは続けている。しかし、それが大きな効果を持つのは、法人税が高いからこそだ。法人税が低ければ研究開発などあまり意味が無く、むしろマネーゲームに資金を回したほうが良いことになる。労働者の賃金のピンはねみたいなチビチビした儲けではなく、付加価値が高い利益率の大きな製品を生み出さないことには生きていけないように企業を追い込まなければいけない。ハングリーな開発意欲があってこそ新製品が生れるのだ。

かつてアメリカの家電がダメになったのは軍事産業化によるものだった。言い値で買ってくれる軍事生産に甘やかされた結果、製造工程の簡素化や顧客ニーズへの細やかな対応などで、決定的に日本に遅れを取った。今日本は法人税の減税などによる企業甘やかしで、同じように、またダメになってきている。

高萩市長の領土論---地方の首長ってこんなものか [政治]

9月26日のいはらき新聞に、高萩市長草間吉夫氏が領土問題で取るべき処置について寄稿している。この通俗性が地方末端の行政をあずかる首長の政治的認識の限界を示すものかもしれない。特に新聞に寄稿するくらいだから、自分では論陣を張ったつもりだろう。

草間氏は、この具体的な内容について、3つの提言をしており、①憲法解釈を変えての軍事力②重層的な外交チャンネル③国際司法への提訴がその骨子だ。まあ、政治のプロと言った深い考察があるものではない。

特に①は問題で、中国に「なめるなよ」と言いたいだけのことに思われる。軍事力で問題の解決はあり得ないという認識が足りない。軍事力で問題解決を図れば全面戦争に発展する危険を増大させるだけではないか。

日本に、人民解放軍がいるから尖閣はだまっておこうと言う意見はない。中国にしても同じで、日本の軍事強化で中国人の意見を変えることはできないのは明らかだ。国境問題を軍事力で最終解決に持ち込めたのは19世紀までであり、もはやそんな時代ではない。国境軍事紛争は多々あるが軍事で解決に至った例はない。

今回の予想を超えるような中国民衆の反発は、やはり過去の戦争による膨大な被害が根底にあり、尖閣国有化が日本の無反省、ひいては悪夢の再来に対する恐怖とつながったためだろう。この時期に①を行うのは問題を大きくするだけでしかない。

②は、幅白い対応のようにも見えるが、見方によれば政治外交による解決の放棄とも受け取れる。地元との融和に腐心する中国進出企業の社長に、日中平和条約でも棚上げされた領土問題を、持ち出させて解決するわけがないだろう。

鉄鋼などの日本の基幹産業は中国需要で生きている状態だし、部品の供給や製品の製造を中国に頼っている中小企業も多く、もはや日本は経済的に優位を持っているわけではない。中国に経済圧力を掛けられるとでも考えているなら間違いだ。

中国には中国の言い分があるのだが、ほとんどの日本人はそれを知らない。民間ルートというのも、こんな状態で、一方的な日本の主張を流す手段として考えるなら、それは機能しないだろう。

領土問題は外交交渉をあきらめるのではなく、その内容を精査すべきなのだ。日本の主張が国際世論に支持されているかと言えばそうでもない。同盟国とされるアメリカでさえ、中立の立場を崩していないし、中国の民衆に理解されることなど露ほどもない。外交交渉が間違っていたのだ。道は遠くとも外交交渉以外に解決の道はないと心得て真剣に取り組む必要がある。

氏の文は「対話と毅然とした対応」と題してあるが、その意味では③が、問題解決の正道である。しかし、双方合意してこれが成り立つにはまず対話が必要だ。「固有の領土であり、領土問題は存在しない」と対話を拒んでいては前に進まない。竹島と尖閣で逆の態度を取るダブルスタンダードではとても毅然した態度とはいえない。本当の「対話と毅然とした対応」が必要だ。



領土問題どん詰まり----四カ国を相手に回してどうする [政治]

不景気と非正規雇用の嵐の中で、消費税は増やすし、社会保障は引き下げる。これで人気がなくなるのは当然だが、そんなとき為政者が思いつくのは「外に目を向ける」ということだ。対外政策で強硬論をとなえ、「愛国者」たちの喝采を浴びようと言うわけだ。この手でごまかされる人々も実際に存在する。

しかし、領土問題には必ず相手国がある。韓国との間の竹島、中国との間の尖閣、ロシアとの間の千島、それに土地の多くを基地に取られている沖縄もアメリカとの間の領土問題といえる。一度に4カ国を相手に回して領土問題を騒ぐ日本という事になると、国際社会の問題児になりかねない。しかも、この4つの国に対する態度にまったく一貫性がない。ダブルスタンダードどころかクワドラスタンダードなのだ。

日本国の主権を最も侵害しているのは、明らかに米軍基地なのだが、これについてはだんまりを決め込み、何も文句は言わない。アメリカには最初から従順でしかない。

竹島問題を持ち出して勧告を国際司法裁判所に提訴するが、結局のところ尻すぼみになる。なぜなら、反共日本はアメリカを軸とする日米韓の同盟が外交の軸になっているからだ。韓国と喧嘩はできない。大韓民国を朝鮮半島の唯一の政権と認め、北朝鮮は「存在しない」というスタンスまで取っている。合従連衡の外交テクニックとしては、南北朝鮮にバランスを取り、手玉に取るのが上策なのだが、それを放棄してしまっているわけだ。だから、韓国はいくらでも強気で対応することができる。復古党(restoration party)の橋下などは最初から「共同管理」などと妥協して右翼仲間から反発まで買っている。

尖閣はどうかと言えば、これまたどん詰まりである。中国は今やアメリカを超える日本の貿易相手国。最上のお得意様なのだから、これまた喧嘩できるわけがない。日本の財界はもちろん中国と事を起こすことをきらう。歴代政府は「財界ポチ」を貫いているのだから、もちろん反抗できない。財界に反抗すれば、保守政権はたちまち首を切られる。おそらくいまごる「どう引っ込めるか」に苦心していることだろう。

さすが長年政権を担当してきた自民党は賢い。領土問題については、ずーーと棚上げにしてきている。そう、棚上げが一番賢いやり方なのだ。尖閣なんか単なる岩でしかない。天然ガス資源だって、深さ2000mの海にパイプラインは引けないので、採取しようがない。漁業も、遠くまで時間をかけて行くほどのものではない。輸入食料が豊富な中で、日本人は漁民の生活を保障するだけ魚に金を払わないのだから仕方がない。

領土問題は、騒がず、忘れず、棚上げにして、時々外交局面でちらつかせるのが賢い扱いなのである。そして、持ち出すとしたら、それは、解決の目処がついた時でなくてはならない。

キャバクラ政治って何だろう [政治]

安部晋三と言えば総裁で元首相だから、まあ自民党を代表する政治家と言ってよいだろう。その後援会が政治資金の申告を訂正することになった。国費である政党助成金も含まれる政治資金をキャバクラの支払いに使っていたのだと言う。

公式なコメントは「政党活動に必要な情報収集、意見交換を行う中で、マスコミの取材活動同様に関係者に応じてさまざまなシチュエーションが必要なことから飲食を含む支出も含んでいる。政治資金規正法の趣旨にてらして適正に処理している」だ。

税金を使ってキャバクラに行かなくてはならないシチュエーションとはいったいどんなものなのだろう。それもかなりの回数になる。適正だと評価しているのだから私的な使い込みの類ではなさそうで、今後も続けるつもりらしい。

要するに日本の政治はキャバクラで決まるものなのだ。「美しい国日本」というスローガンもキャバクラで思いついたし、多分キャバクラに行ってみんなで「君が代」を歌い、これを卒業式では全員に強制することに決めたのだろう。

リストラや低賃金、沈没する産業基盤、震災困っている被災者、そんなことはパーっと忘れて、今夜もキャバクラで盛り上がって、日本の明日を決める。これが政治の実態かと思うと、もう目の前が真っ暗になってしまう。

石原・橋下・小沢 新党はどうなるーー小選挙区制の末路 [政治]

石原新党なるものができる。変な話ではないか。石原氏は「立ち上がれ日本」の代表だったはずだ。この政党はどうなるのかというと石原新党に合流すると言う。それでは一体何処がちがうのか。要するに新党立ち上げが流行っていて、それにあやかって看板をかけ直すと言うことでしかない。橋下新党、小沢新党などこのところ新党が多いのだ。この新党は、果たして政党なのかという疑問もある。政党というのは、一定の考え方を持った人たちの集まりである。ところが最近のものは、人の名前で呼ばれており、それが長続きするとは誰も考えていない。そういうのは、本当は政党でなく単なる派閥なのだ。新党というより新派閥と言うほうがよかろう。

石原氏は、ついこのあいだ高齢引退説を押し切って再選を果たしたばかりなのに、「もう、やり残したことはない」と知事職を放り出した。横田基地を取り返すと言って知事に初回に選ばれたのではなかったのか。都民銀行なるものを作って出した巨額の赤字もそのままだ。東京都民を愚弄するような人を知事に選ぶと言う都民はいったい何を考えているのだろう。都民でなくてよかったと思う。

これまでの流れとしては、小選挙区制にして、二大政党制の定着をはかったのだが、こういった事実は二大政党制なるものが、破綻したことを示している。「民主党にはがっかり、自民党にはこりごり」が人々の実感であり、政治には民衆の期待の受け皿がなくなってしまった。民主党政権が倒れるのは必定だが、自民党への回帰が望まれていないのは明らかだから、第三極が必要になる。

第三極に名乗りを挙げているのがこれらの新党だが、実際のところこれらはどれもかなり小さい。小選挙区制というものは、かなり強引に二大政党を作り上げる。第三極の存在は抑圧される制度だ。だから右翼少数党がまとまって第二極と匹敵する大きさにならなければ第三極とはなりえない。しかし、これは本質的になかなか難しい。新派閥の首魁はいずれも、独裁志向である。独裁連合なんてものは最初から矛盾している。「俺を親分にするなら合流する」を互いに言い合うことになるだろう。現在のところ、橋下が石原と「立ち上がれ」を分断する作戦に見える。意見の違いは石原のほうが大きいのだが「ジジイはどうせすぐにくたばる」と言う読みだろう。

それで結局どうなるかと言えば、折り合いがつかずに第三極は出来ない。おそらく自民党橋下派、自民党石原派などということに落ち着く。考えて見れば自民党はずっと昔から派閥連合だ。橋下も、河村も政策内容では実は自民党と変わりがない。「言い方」がちがうだけだから十分党内に飼っておける存在だ。野田派なども自民党に含まれても何等違和感はない。第三極であるかに見せるため「立ち上がれ日本」に習って、自民党が「維新党」に看板を架け替えるくらいの事は起こるかもしれない。自民党はますます派閥連合体化していく。

アメリカで二大政党制が維持されているのは、基本的な考え方が違う民主党と共和党が、互いに対立・譲歩しながら大統領に対して影響力を高めるという共通した課題を追求するからだ。与党といえども大統領・行政とは一線を画す立法府であると言う自覚は高い。日本のような議員内閣制度だと、行政と立法が分離されず、よらば大樹の陰で、すべての議員が行政にすりよる与党化が生じる。大臣になるために政党を替わるなどということが平気で行われるくらいだ。二大政党ではなく安定与党が極端に強くなり、その代わり与党の中で派閥が形成されて行くことになる。

自民党から民主党への政権交代があったと言うが、結果的には、政権交代と言うほどの政策転換はなかった。途中に鳩山・管といったはみ出し内閣はあったが、同じ大政翼賛会の中で、安倍派から野田派に変わっただけだと考えたほうがわかりやすい。日本では小選挙区制による二大政党のバランスなどということは出来ないのだ。

政治はバランスである。どこかでバランスが取れないと混迷が起こる。その意味では、中選挙区制のもとに、万年野党と万年与党が国会で衝突し、基本的には与党の主張が通るが、抵抗の大きさによっては、その実行が躊躇されるといった70年代のバランスの取り方が、今思えば日本に適していたことがわかる。小選挙区制の導入とともに、こういったバランスが取れなくなり、政策が暴走して日本経済を凋落させていった。



選挙公報を読む---つくば市長選挙 [政治]

(2012年の市長選挙について書いています。2016年選挙についてはこちら)

つくば市で市長選挙が始まり、公報が配られた。そして明後日はもう投票になる。実際上、候補者を比較する資料はこの公報しかない。こんなもので良いのだろうかとも思うが、良く読めばかなりのことが読み取れる。

現職の市原氏は経験と実績がうたい文句になっている。6つの政策を挙げているが、いずれも「これまでやってきたし、これからもやる」がそのスタンスになる。

第一に挙げられているのが「国際戦略総合特区」で、これは国からお墨付きをもらった開発計画だ。このお墨付きをもらった事を実績として強調したいことがわかる。計画自体は研究なのだが、市原氏が考えている中身は「企業誘致」「産業育成」であり、この経済環境での行く末が不安になる。結局大きな赤字を作るだけという実例はいっぱいある。研究学園都市だから大丈夫などとは考えられない。つくばに30年前から研究機関があるからといって、別に産業はつくばでなくてはならない理由など何処にもない。言葉のあやでしかない文句にしがみついて何になるのかわからない。

二番目の教育日本一はどうだろう。市内の学校に資質を持った子が多く、学力テストの点数が高い。しかしこれは、前市長の時から同じで、だれが市長になっても変わらないのだから特に市長が実績などということではない。教育支出とか教員配置とかで他の市よりも優れたことをやったわけでもないし、やろうという具体的政策がないから意味のない項目としか思えない。

三番目は環境温暖化対策の推進で、これは項目に挙げるというだけでも積極性を示しているものだと評価できる。しかし、どうやってこれを推進するかが「産学官民共働」では中身になっていない。

四番目は「活力ある自立都市作り」である。自立都市というのは、つくば市の財政が他より豊かだと言う事がいいたいのだ。人口が増えている地方都市はそう多くはないが、これも特に市長の功績ではなく、電車が開通したり研究所が設置されたりした結果だ。むしろこの財政を背景に何をするのかが問題だろう。福祉レベルは赤字市並、38億かの余剰金を出し、土地の買い込みや廻らない風車に無駄遣いしたことは他の候補者が一様に批判している。何よりも考えなくてはならないのは学園都市の方向性であり、無批判に宅地や工場を増やすことではないはずだが、この配慮はまったくなさそうだ。

五番目は小子化・高齢者、六番目は安全安心の街づくりとなっているが具体性は全く無い。ただこれが市民の要求だと意識しているとは受け止められる。

総じて、何も中身なく、これまでどおりの市政を続けるというだけのものとなっている。現職3期目というとこんなものかという気がする。

これに対して、最も痛烈な批判を投げかけているのは五十嵐氏だ。「つくばはこんなもんじゃないんだ」と言うキャッチフレーズは、市原市政が、つくばの利点を生かした施策を何一つ展開していないことを指摘しているし、学園都市の方向性に対する無策を鋭く衝いている。

五十嵐氏は三つのスローガンを掲げる。①利権を打破②弱者を守る③世代交代である。①はこれまでの市政が、利権の争奪戦であったことを指摘し、これを打破することを第一に挙げている。このスローガンは市原氏も最初の頃掲げたことがある。結局市原氏の「利権」とは「前市長の利権」であったに過ぎないと言う主張だ。五十嵐氏は自分の利権を発生させない方策として「見える化」を挙げているから、具体策が伴っていることも評価できる。

②も弱者というものが存在し、それを守ることが市の努めだとする姿勢の表明だ。つくバスの拡充などの具体策もある。しかし、③はどうだろう。30代の市長を強調するが、それなら二期目はできないことになってしまう。このあたりで、政策の系統性が欠けていることが見えてくる。具体的な施策が並べられていて、それは良いことではあるのだが、みな細かい。市原氏が出している政策に対する批判もこうした系統性のない方策を並べるだけでは出てこない。

こういった細かい施策は、市原市政でも取り上げられていておかしくない。市原氏が出している政策とは矛盾しない。五十嵐氏も市議として在任中に提案できたはずだ。にも関わらず為されなかったのは何故か? 市原市政が良くなかった根本原因がどこにあったのか、それを正すための根幹はなにか?こういった問いに答えられていないところに問題がある。ここに踏み込まなければ実際に市政を行っても市原市政と同じ結果になるだろう。

具体策でも疑問なものがある。市役所と企業の人事交流などがそれだ。企業の人を市役所の管理職に抜擢するのはよくあるが、市役所のモチベーションを下げるだけで終わることが多い。これは「交流」ではない。逆に一流企業の管理職に市職員を受け入れてもらうのは難しいだろう。自身がコーチングをやっており、コーチングによる市役所内のリーダー育成などとなると、身内を市役所の重要ポストに配置すると言っているようなものだ。

「学童保育を6年生まで」も難しい。今でも学年が上がると学童保育のプログラムは成り立ちにくい。塾や、サッカーなどの習い事との関係をどうするか、学校のあり方についての基本的な政策が先だろう。中高一貫や小中一貫あるいは学区の問題を飛び越えて、学童保育を持ち出しても施策にならない。

桜井氏は「つくばのサッチャー」をこのせまい紙面で何回も出しているが、鉄の意志とリーダーシップを強調するためのものだ。市原市政はトップダウンと言われ、リーダーシップの不在が問題になっているわけではないから、すこし違和感がある。なにもつくば市民がリーダーを欲しがっているわけでもないのに、リーダーを売り込まれても困る。

政策として掲げるものはかなり具体的で、検証可能な項目があることは評価できる。羅列的であるが、中に市原批判を含むものがある。退職金、東京事務所がそれだ。しかし、これが痛烈な批判に見えずむしろ揚げ足取りに写るのは、対置する政策がないからだ。東京事務所などと言うものを作ろうとする姿勢の何処が桜井氏の政策と衝突するのか、文面からはわからない。

市民病院が廃止されたが、旧筑波町の人たちは筑波大病院や記念病院に非常に遠いわけでもない。つくばは県内の他の町と比べれば医療機関が突出して多い。地域票だけを狙った政策は、市全体を考えるべき市長としてふさわしいものだろうか。

スクールバスの導入とはどういうことだろうか? 学区の自由化をさらに進めて遠距離通学をさせるということなのか。歩いて通える距離に学校を配置することこそ重要ではないのか。

TXの北部伸延というのもあるが、これは市長ができることでもないし、全く検討不足と言うしかない。本気なら市の財政破綻をもたらすし、掲げるだけの政策なら、欺瞞的なものだ。

総じてまとまりのない政策の羅列は検討不足であり、単なる作文であるとしか思えない。おそらく候補者本人も来年になれば何を書いたか覚えていない位のものだろう。

山中氏は3つのビジョンを掲げている。第一が「市民が決める」で、これはトップダウンや裏取引で決っているという市の現状をズバリ指摘し、これを改めるというのだ。それは良いことだし、一番に挙げているから力点でもある政治の根幹だ。しかし、その具体策は示されていない。市民が決めるといっても、実際には市議会があるし、市長が市民の声を広く聞くという姿勢の表明でしかない。

第二は「暮らし第一」ということで、これが自治体本来の仕事だと言う。これは「総合特区」を一番に持ってくる市原市政との対比を明確に示している。国保、医療費、介護などで具体的な施策も挙げられており、これをどう実行に移すかが、第一のビジョンの生かしどころだろう。

第三は「モノをいう市長」として東海第二原発の廃炉、消費税、TPPにつくば市民を代表して発言するという。自治体というものが単に国の下請けであってはならないという考えが見られる。意見がはっきりしていることはわかりやすい。しかし、こういったことに反対の意見を持つ市民からは疎まれるだろう。それを承知で表明するだけ堂々としているのは立派だ。

学園都市をどう発展させるかと言う点に関して明確なビジョンが示されていないが、確かにこれは簡単なことではない。それは「市民が決める」ことであり、研究者が決めることでもある。第一のビジョンがどう実現されて行くのかが課題として残る。総体として良く検討された政策であり、系統的でもある。

以上4人の候補者の掲げる公報をじっくりと読んでみた結果だ。狭いスペースではあるが、やはり違いは現われる。具体的な政策に裏打ちされた基本的な考え方を読み取ると言う視点が大切だ。有権者は公報をじっくりと読むべきだ。誰が当選するかわからないが、この公報を次回の選挙の時に取り出して市長に「総括」を要求してみたい気持ちだ。

橋下維新に騙される地方の1区候補者 [政治]

原発反対の河村とは一線を画し、原発賛成の石原と手を組んだ橋下維新は何を考えているのだろう。原発政策は一応看板を挙げているだけで、本音からすれば独裁さえできれば良いということだろう。石原のジジイはどうせすぐくたばるだろうし、すでに耄碌が進んでいるから扱いやすい。河村はまだ先が長いし、結構独自なことを言い出すから、避けたい。---そんなところだろう。

結局、一致するところは、地方分権だけの様相だが、実はこれが一番怪しい。橋下のもとで、全国の1区に立候補する人たちは、まず当選の見込みがない。比例候補の踏み台にされるだけだろう。そもそも地方では橋下の言う「地方分権」は成り立たないのだ。

地方交付税をやめて変わりに6%の消費税を地方税にするというのが橋下の政策だが、こんなことをしたら、例えば高知県は即日破産する。東京の消費税は4兆円もあり、東京都は地方交付税の対象ではなかったから、4兆円の増収になる。 いまでさえ潤沢な財政力を持っていて赤字銀行でさえ作るくらいなのだが、ますます豊かになる。

高知県はどうなるかと言えば、1700億の地方交付税を失うが、高知県での消費税は330億に過ぎない。1400億円の減収である。580億円の負債があるのだから、全予算が銀行に取られて破産するのは確実だ。地方交付税というのは、こうした経済力の地域差を和らげるため、国が国税として徴収して、必要に応じて各県に配分するものだから、廃止すれば格差が増大する。

1.7兆円増収の大阪府は生き残るが、4兆円増収の東京都とはますます差がつく。これでは、東京への一極集中を加速するばかりであり、全く「地方分権」ではない。橋下の政策は大阪の活性化どころか、地盤沈下を決定的にするものでしかない。石原とは徹底的に対立し、あらゆる会社の本社を独占する東京都の特権を剥奪する気構えがなければ大阪の活性化は出来ない。

東京と大阪だけが勝ち組になり、地方の財政を全部山分けしてしまうのだから、地方の1区で、橋下のお先棒を担ぐことになった候補者こそいい面の皮だ。いったいどのように選挙区の人々にこのあほらしい「地方分権」の未来を語れるのだろうか。小選挙区制のもとで、当選の見込みもない選挙で自分の金を使い果たし、あほらしい政策を語らねばならないとなれば、騙されたというしかない。


原発をめぐる各党の姿勢---2012衆議院選挙 [政治]

2012年衆議院選挙で原発問題が争点になっている。自民党は代替えができたら廃止、維新は30年フェードアウト、民主は30年廃止、未来は10年廃止であり、社民と共産が即時廃止である。

色とりどりではあるが、すべての政党が原発推進とは言っていないことが大きな特徴だ。なんとなれば、多くの国民が原発廃止の意見を持っているからだ。福島の事故を通して、安易な原発再開がいかに危険なものであるかを身をもって体験した。実際、事故がもう一度起これば、日本経済は破綻してしまう。選挙で票を得ようとすれば、原発賛成とは言えない。その一方で、多くの政治家は原発神話のお先棒を担いできたはずだ。その本音が簡単に変えられるはずがない。つまり、これらの原発政策には票を得るための嘘が含まれている。ウソを見分ける目、それが選挙には必要だ。

自民党は明らかに、世論の反発を避けようとして言葉を濁しているだけで、実際には原発推進が本音だとわかる。ウソというよりもごまかしという程度のものだ。原子力村にどっぷりつかり、これまでかなり甘い汁を吸ってきた。代替のエネルギー源がないとして、いつまでも原発にしがみつく姿勢が見えている。

維新が言うフェードアウトと言う表現は、自動的に消えていくということで、政府は何もしないという意味になる。実際は原発を続けることになる。反原発を唱える所から、ずるずると変化した経過も重大だ。これはまさに「反原発のフェードアウト」に他ならない。維新の本音は原発推進でありウソの典型と言える。

民主党は、大飯原発を再稼動した張本人である。30年といいながら閣議決定すら見送った。大間原発については建設を再開してしまった。これは、原発廃止などとは程遠い施策だ。30年後には、いま約束している政治家たちはすでに死んでいるだろう。30年後を約束などできないはずだ。「俺が生きている間は原発を続ける」と読むべきだろう。

では、10年を言う未来はどうか? 未来の滋賀県知事は大飯原発の再稼動を容認したと言う実績を持っている。しかも、この政党は選挙間際に寄り合い所帯で作られて、いつまで続くかもわからない。とても10年後を約束できる政党ではない。やっぱりこれも本気で原発をなくそうというつもりとは受け取れない。反原発の票だけを目当てにした選挙対策でしかない。

2011年3月11日以来、1年にわたって、原発はゼロだった。2012年の夏は操業をとめた工場もないのだが、電力使用量は原発ゼロの水準に留まった。もともと、電力はかなりムダ使いされていた。産総研の調査で、現在の技術でできる省エネだけでも30%の節電になることが分かっている。これは原発による発電量に9匹敵する。もともと原発はいつでも止められたということだ。

即時原発廃止はすでに実現できている。これから動き出す火力発電所もあるし、太陽光なども来年からは徐々に増えていく。わざわざ安全が検証できていない原発を動かす必要はどこにも無い。日本はこのまま原発を稼動することなく十分にやって行ける。

にもかかわらず、30年だ10年だと議論するのは、全てまやかしでしかない。原発を止めたために、電力会社は大幅な赤字になり、このままでは電気代がとんでもない値上がりをするなどと脅かしているが、もちろん嘘だ。原発がない沖縄電力も別に赤字経営ではない。東電や原発を持っている電力会社が、今赤字になっているのは、事故の対策と原発の維持に費用を使っているからにすぎない。

火力発電のコストだって、イギリス議会の調査では、実は原発よりも安いことが分かっている。資源にしても、ウランは天然ガスや石油よりももっと埋蔵量が少なく、100%輸入だ。原発にしがみつく必然性はどこにもない。もし、30年後のことが言いたければ、今はとにかく原発を止めて、30年後にその時点でのエネルギー状況や技術の進歩を勘案して見直すと言うのが筋だろう。ウソを見抜き、ごまかしを許さず、きっぱりと選挙で判断を示そう。


経済成長と憲法の関係 [政治]

石原と言う人はよくよくデマゴギーが好きな人だ。

石原氏は11月30日の党首討論会で「私は公明党はあまり評価できない。日本を衰退させた原因の一つが憲法だ。その憲法を大幅に考え直すことに公明党は反対なようで、私は自民党は公明党と連立していく限り、自民党に期待できない」などと語っていた。


「日本を衰退させた原因の一つが憲法だ」は明らかにウソだ。

戦後日本は日本国憲法のもとで、すごい経済成長を成し遂げた。戦前にはいくら威張ってみても、アジアの3等工業国に過ぎなかったのだ。いろんな歪も出たが、軍事に金を使わず経済生産に邁進した成果だと言える。企業は軍事に手を染めると堕落する。言い値で買ってもらえるうまみを覚えたら必死でよい製品を安く作る努力なぞ馬鹿馬鹿しくなるのだ。政界工作が開発努力を上回る体質が身についてしまう。

日本の衰退がいつ始まったかといえば「憲法改正」などと言い出し、軍事力を増強しだしてからだ。軍事費がGNPの1%に迫ってからは、バブル破綻から小泉改革へと急激に衰退した。むしろ「憲法改正」に動いたことこそが経済衰退の原因なのだ。

60年代70年代の労働運動が盛んで、各地の自治体に「憲法を暮らしの中に生かそう」のスローガンを掲げる革新知事が誕生した頃が最も経済発展が著しかったというのは皮肉な事実だと見える。しかし、実はこれも関係がある。 経済発展に必要なのは「輸出の拡大」と「内需の拡大」の両方が必要なのだ。

輸出の拡大には技術開発で新製品を作り出すことが必須だが、内需の拡大には賃金の上昇が必須だ。60年代、70年代には、労働運動が強くて、企業は営業利益をどんどん賃金上昇に吸い取られ、内部留保などほとんど出来なかったので経営基盤は弱体ではあった。

ところが、世の中が右傾化して本来憲法で十分認められるはずの労働運動が衰退し出してからは、技術開発は進められたが、賃金は好きなように抑えられるようになった。企業は内部留保を増やし、基盤を強固にして行ったが賃金は上がらず、内需は伸びなくなってしまった。当然、円高が起こる。

価格競争で輸出を増やそうとする企業はリストラと称する賃金抑制を始めた。正社員はどんどん比正規雇用に置き換えられ、賃金は低下した。これが内需をさらに押し下げ、デフレスパイラルが始まってしまった。

事は明白なのだが、石原知事の口にかかればすべてが反対になる。因果律を外れ、当たり前のことさえ無視したデマゴギーを平気で喋り捲る習性は生まれついてのものらしい。

最低賃金法が廃止されたら大変なことになる [政治]

最低賃金法を廃止するなどと言い出した政党がある。世論の批判を浴びて「市場にまかせる」などと言い直したが同じ事だ。どうも経済がまったくわからない人たちらしい。

ある商品を作り、高い値段で売り出して儲かったとする。当然、同じような製品を少し安く売る人が現れる。結果として値段は下がり、同じ製品を売りつづければ価格競争になる。どこまで値段が下がるかといえば、製造コストぎりぎりまで下がる。これが資本主義の価格原理だ。優良企業はいつまでも利幅の下がった商品にしがみつかず新たな製品開発をして行く。

労働力も商品であり、特殊な技術があれば高く売れるし、単純労働なら安い。安い労働力の価格(賃金)が市場でどこまで下がるかといえば、製造コストぎりぎり、つまり餓死する直前まで下がらざるを得ない。餓死が増えて労働者の数が減れば賃金が上がり、餓死が少なくて労働人口が増えれば賃金が下がると言う状態だ。

こんな非人道的な状況を防ぐために最低賃金法がある。最低賃金を払えない会社はつぶれても良い。人を殺すよりましだと言う考え方だ。最低賃金の高い国はそれだけしっかりした企業が育っている国だ。国力とは最低賃金の高さだと考えるのが良い。ドイツ・フランスなどの国々は不況の中にあっても、じわじわと最低賃金を上げている。優良企業を選別して育てる政策でもある。

日本は経済力がありながら最低賃金が低い。企業を甘やかして低賃金で収益をあげる不良企業を温存する体質を保持しているのだ。不良企業を温存しながら先端的な生産もするのは、特異な下請け制度によるものだ。下請けの中小企業の上にあぐらをかく一流企業という格差構造だ。こういった奇妙な構造を改革して行くためにも最低賃金の向上が必要とされる。このようなときに不良企業育成の「最低賃金廃止」などとんでもないことだ。

最低賃金法をなくす代わりに、最低賃金以下の人たちの生活は、国が責任を持って支えるなどと、言い訳をしているが、日本には最低賃金付近の「ワーキングプアー」が1000万人もいるのだ。一人100万円で合計10兆円もの予算をどうやって工面すると言うのだ。言葉の上だけでの政策でしかない。

賃金は「相場」で決まる。最低賃金が下がれば、ちょっと上の職種の賃金も下がる。順送りに、多くの人たちの収入が減ることは目に見えている。「俺は最低賃金でないから関係が無い」などと考えているバカがどれだけいるものか、今回の選挙の結果を待ってみよう。

無制限金融緩和でいよいよ沈没 [政治]

安倍氏が「無制限金融緩和」などと言い出している。いよいよこれで経済日本も終末に近づく。

長引く不況の原因が円高にあり、通貨を乱発すれば円安を導けるという理屈なのだがこれは間違っている。円安になれば原料もエネルギーも日本円では値上がりすることを忘れているのだろうか。円高は不良経済構造の結果なのであって決して単独の不況要因ではない。円高補正だけをやっても価格は連動するだけで経済回復にはならない。

古典的には金融緩和が投資を促し、生産を高めるという効果があるが、これは再三にわたる金融緩和ですでにお試し済みであり、全く効果がなくなってきている。日銀が銀行にほとんど無利子で貸し出し、銀行が企業に低金利で資金を提供する。しかし、企業はその金を何に投資するのか? この経済状況の中で何を作ったら儲かると言うのか? 何を作っても売れないことが最大の問題なのだ。

金は天下の回りもの。経済が進展するためには生産と消費のバランスが大切だ。ところが日本は生産ばかりを進めて、消費を抑制してきた。リストラで低賃金にすれば当然消費は減る。消費税を増やせば当然消費は鈍る。国内消費がないので輸出頼みになって行ったが、当然輸出超過になると円高が起こる。これを補うように食料輸入を増やしてきた。これは農業をつぶすことで達成できる。

しかし、今や農業もこれ以上衰退できなくなり、輸入が停滞してしまった。激しい円高になったのも当然である。最近になって輸出が陰りを見せてやっと安定してきたが、これは多くの企業が赤字になる水準だ。多くの企業が生産コストを下げることに必死になっているが、総体でみればこれはさらに内需を抑制することに他ならない。内需を喚起しなければ経済の回復は望めない。

どうすれば内需を喚起できるか? それは、生産と消費で金が回るようにすればよい。大企業の内部留保や金持ちの蓄財など溜め込まれている資金を循環に放出すれば良いことは誰でもわかる。賃金を底上げして内部留保を吐き出させる。高額所得や蓄財に課税して吐き出させる。この資金を使って消費税は廃止する。金を貯めない低所得者に手当てして消費させる。----これが今、経済に必要なことだ。

こういった手当てをせずに底なしの金融緩和をやればどうなるか?まともな設備投資が行われることはあり得ない。儲かっている企業は内部留保が山積しており、借金の必要は毛頭ない。おそらく、資金の多くは投機筋に流れることだろう。株はバブルとなって上がるかもしれないが生産や雇用には結びつかない。ヘッジファンドが金融を支配し、あちこちに株長者が出現し、まじめに働く人たちは、買占めによる値上げの餌食になる。中でも石油の買占めは深刻な問題になるだろう。

日本沈没の新たな段階の幕が開く。

北朝鮮のミサイルは人工衛星だった [政治]

北朝鮮がまたミサイル発射実験をすると、マスコミは連日大騒ぎしていた。北朝鮮自体は人工衛星だと言っているが、それはウソで本当はミサイルなのだと口をそろえていた。

北朝鮮は人工衛星の打ち上げであるとして、一段目、二段目のロケットの落下予定地点も明確にしていた。前回は打ち上げ基地の様子も公開したのだから専門化が見れば人工衛星であることは分かっていたはずだ。前回の打ち上げは人工衛星軌道に乗らず失敗だったので人工衛星である証明はなされなかったから、報道はそのごもミサイル扱いを通した。今回は成功して人工衛星軌道に乗ったことは、アメリカも認めたのだから、そうも行かないだろう。

人工衛星をすべての報道機関が「ミサイル」だとして報道し、自衛隊は迎撃体制まで整えていたのだから、何かおかしい。「人体にただちに影響を及ぼすことはない」と同じで、マスコミに口をそろえて報道させていたことがウソだとばれることほど政府の信用を失墜させるものはない。

人工衛星は日本も多く打ち上げており、その度に厳戒態勢を取ったりはしない。この点で日本は非常におかしなダブルスタンダードを使っている。北朝鮮は人工衛星を平和利用すると言明している。ミサイルでなかったことを認めて、この約束を守るようにすることが大切だろう。

ところが日本は昨年、法改正して宇宙の軍事利用を宣言してしまった。これでは、北朝鮮に人工衛星の平和利用に関してものを言う権利を失ってしまう。今からでも遅くはない。法改正を撤回して、宇宙の平和利用に徹することを宣言して、北朝鮮にも平和利用に徹することを訴えるべきだ。

軍事競争は、結局どの国の人民にも利益をもたらさない。

民主党政権とは何だったのか [政治]

衆議院選挙は自民党の圧勝、民主党の壊滅で終った。心底こりごりしているあの自民党政府に逆戻りするのだから気が重い。自民党圧勝の最大の功労者は野田首相だ。

やると言明した沖縄基地の撤去をやらず、止めるはずの八つ場ダムを進めたし、非正規労働の規制も放り投げた。やらないと言明した消費税は多数を除名してまで強行した。国民の多くが不安を持っている原発の再稼動を早々と容認した。これで、公約に期待して投票した人の支持を失わなかったら、そのほうが不思議だろう。

なぜ、こんなバカなことが起こったのだろう。3年前に戻って民主党の成り立ちを考えればうなずけるものがある。民主党は昔の社会党から社民党に移ることをためらった右派と民社党などの労働組合族が選挙互助会的に集まったものだ。政治的見解もはっきりしない集団だから、ジリ貧になっていた。そこへ小沢の新進党や鳩山のさきがけなど、自民党を分派した勢力が合流して勢いをつけた。

野田が属していた昔の民社党は、労使協調の同盟系組合をバックにして、労組系であるにもかかわらず、自民党と同じような政策を掲げていた。「自民党と変りありません。だから政権を任せてください」などと委員長が演説していたが、社会党と自民党の谷間に沈没していた政党だ。変りがないのなら老舗の自民党の方が信頼されるのが当然だろう。

長年にわたる自民党の一党独裁が国民に飽きられ、変化を求める受け皿として急浮上した。「政権交代」が民主党の看板になった。しかし、民主党の多くは元自民党であり、自民党政治を変えたいとも思っていなかったのだ。「政権交代」のために、自民党との違いを出す必要が生じて「マニフェスト」を出した。マニフェストというのは政権交代のために出しただけのもので、実は民主党がやりたいことではなかったということだ。

国民は、消費税を増やさないことや、沖縄基地の撤去、ワーキングプアの解消、八つ場ダムなど公共事業の停止を期待して政権交代を望んだのだが、「政権交代」自体を目的にしていた野田などの議員の本音は、自民党政権の政策に不服なく、「政権たらいまわし」をやりたかっただけなのだ。

政権が取れてしまって、イザ実行となると、すぐにボロが出た。本当はやりたくないが、マニフェストに書いてしまった事をやらなければならない。大勢力を持つ自民党を抑えて、国民の欲する政策を実行するには相当な努力がいる。熱意のないことに奮闘しろといっても無理だ。民主党政権では「決められない政治」が続いた。

もともとやりたかったのは、自民党との政権たらいまわしだ。どちらの政党でもやることは同じだが、顔ぶれは変るという政治がやりたかった。要するに自民党内では冷や飯を食っていた所に日を当てたい。それだけのことだ。民主党政権三代目の首相になった野田は、決められない政治への批判を第一と考え、やりたかったこと「自民党と同じこと」を実行して「決められる」ことを見せようとした。

もう、目は完全に自民党と財界に向いていた。国民の声は聞こえなくなっていた。彼は反原発で官邸前に集まった人々の声を「大きな音」と言った。敵対するにしろ、受け入れるにしろ、国民の声が聞こえなくなったら政治家はではない。彼の目には自民党と同じ事をやって、財界の喝采を浴びれば政権が長続きすると見えた。なぜなら自民党はそれで政権を続けられたからだ。野田の頭の中では、自民党と同じ事をやれば、自民党と同じようになるとしか考えられなかった。

自民党というのは国民の望まないことを押し付けるために、進駐軍に養成された特殊な政党だ。緩急自在、国民の反発の程度を見ながら、じわじわと締め上げる。50年に及ぶ与党経験の中で、逃げ道を作ったり、他で期待を持たせたりして、反発が集中しないようにするテクニックを身に付けている。こんな政党は自民党だけで十分であり、同じ事をやる政党はいらない。

結果はみてのとおりだ。国民は民主党なんかに期待した愚を反省しなくてはならない。自民党政権では出来ないことをやる政党だけが政権交代を言う資格がある。

これからの4年間が恐ろしい。安倍の浮かれ加減を見ると、国民が目覚める前に、日本を破滅させてしまうかもしれないと、本気で心配になる。






維新の選挙違反がなぜ多いのか [政治]

衆議院選挙が終わり、今回も悪質な選挙違反がいくつも摘発されている。残念ながら今回も違反事件は多い。中でも維新の買収が突出して多い。買収と言うのは文書などと違って違反としてはかなり悪質なものだ。

選挙に不慣れなために、運動員の統制が取れていなかったというのはウソだろう。なぜなら、これらの候補には、地方選挙を経験しているベテランも多いからだ。いままでもやっていた事を大々的にやってしまっただけだ。

この原因の1つは維新が「愛国者」の集まりであることに起因している。自分たちは「愛国者」であるから、目的のための多少の逸脱は許されるべきだという「思い上がり」である。市民の一人として法を守らねばならないという意識が低い。

橋下氏自身が、現行選挙法で禁止されているツイッターの更新を選挙中も続けた。選挙法がおかしいのは分かるが、選挙が他党との競争である限り他の政党が遠慮していることを自分だけやるのは、あきらかに不公平だと言う事がわからないのだ。

こうした思い上がりは「愛国者」には必然のようだ。2.26事件の青年将校たちは、自分達がテロで人々を恐怖に陥れていることに気が付かなかった。愛国はルールを上回るという意識だ。悪い見本は暴力団で、多くの暴力団組長は右翼で「愛国者」だ。みかじめ料をせしめたり、暴力抗争をしても、「愛国者」は許されるという観念の見本だろう。

これはかなり昔からの伝統で、幕末には天誅組などのテロが横行したし、御用金の強奪も多かった。勤皇の志士たちは、自分は「愛国者」であり特別な存在だとこれを是認したのである。

戦中はもっとひどく、皇軍兵士は、東洋平和のために命を捧げる「愛国者」だから、女の一人や二人犯したところで何の問題もないと考えていた。これが日本軍の戦争犯罪の温床でもあった。

維新には「愛国者」だけでなくもうひとつ選挙違反の根源がある。それは、「強者思想」といえるもので、弱者保護を嫌悪する思想だ。貧乏人は努力が足りないと言ってはばからない。

これは、努力して金持ちになった人間を賛美し、選挙に自分の金を使って何が悪いという発想を持つことにつながる。実は現行選挙法では、ビラもポスターも「公営」以外禁止だから。供託金以外に金を使えないはずだ。しかし、「愛国者」は自分の金を国政改革に使うことに恥じらいがない。

選挙に金を使うとなれば、必然的に、票集めに努力してくれた人に金を渡すのが「常識」になってしまう。維新の人たちには、運動員に金を渡して労をねぎらうことが買収にあたることが、理解できないのではないだろうか。なぜ維新に選挙違反が多いのかは、このように根深い理由があってのことだ。だから今後もなかなかなくならないだろう。

今後はさらに世慣れて、違反をうまく隠す術を身に着けていくだろうが、政治資金も、寄付の禁止から大分後退したし、政党助成金も臆面無く受け取るようだから、維新に清潔さを期待するのはもう無理だろう。

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ニューヨークタイムス社説(1月2日) [政治]

ニューヨークタイムスが1月2日の社説で日本の安倍内閣のことを取り上げている。、題して「またもや歴史を否定する日本の試み」。新聞には辛辣な批判が欲しい。日本の新聞にも、これくらいの事が言えるものがあっても良さそうなものだが、全くダメ。

ニューヨークタイムス新年の社説

日本と南朝鮮の間柄ほどアジアの安定のために重要な関係はそうない。しかし、日本の新首相である安倍信三氏は、任期のとっぱしから南朝鮮との緊張を高め、協力が難しくなるような間違いを犯そうとしている。
彼は、朝鮮人などを性奴隷として使ったことを含めて、第二次世界大戦における日本の侵略に対する謝罪を考え直すようなことを示唆した。

日本は。日本軍が軍慰安所で何千人ものアジアやヨーロッパの女性を強姦し、奴隷化したことを1993年になってやっと認め、初めてこうした残虐行為を全面的に謝罪することにした。範囲を広げた1995年の村山富市首相の謝罪は、「植民地支配と侵略で日本は多くの国々、とりわけアジアの国の人々に、非常な禍と辛苦をもたらした」と表明している。

月曜日のロイター通信は、産経新聞のインタビューで、右翼国粋主義の安倍氏は1995年の謝罪を、内容不明な「前向きの声明」に変えたいと答えたと伝えている。彼は2006-7年の彼の前政府で調査して、性奴隷として日本軍に使われた女性が強制された証拠はなかったと言う。

菅義偉内閣官房長官によれば、1995年の謝罪は継承するが1993年の声明は改定するかもしれないと言ったという。自民党総裁の安倍氏が謝罪をどのように改定するというのかは明らかでない。しかし、彼が前から国の歴史を書き換えたいと思っていることは公然のことだ。

犯罪を否定し、謝罪を薄めるなら、どのような試みも南朝鮮だけでなく、戦中に日本の野蛮な支配を受けた中国やフィリピンを怒らせるだろう。安倍氏の恥ずべき欲求は、北朝鮮の核兵器計画のような、この地域の重要な問題を危うくするだろう。このような歴史修正主義では、過去を洗い流すことはできず、長期の沈滞をなんとか改善することに全力を集中しなければならない国に当惑を与えるだけだろう。


[原文]
EDITORIAL
Another Attempt to Deny Japan’s History
Published: January 2, 2013

Few relationships are as important to stability in Asia as the one between Japan and South Korea. Yet Japan’s new prime minister, Shinzo Abe, seems inclined to start his tenure with a serious mistake that would inflame tensions with South Korea and make cooperation harder. He has signaled that he might seek to revise Japan’s apologies for its World War II aggression, including one for using Koreans and other women as sex slaves.

In 1993, Japan finally acknowledged that the Japanese military had raped and enslaved thousands of Asian and European women in army brothels, and offered its first full apology for those atrocities. A broader apology by Prime Minister Tomiichi Murayama in 1995 conceded that “through its colonial rule and invasion,” Japan had caused “tremendous damage and suffering to the people of many countries, particularly to those of Asian nations.”

In an interview with the Sankei Shimbun newspaper, Mr. Abe, a right-wing nationalist, was quoted by Reuters on Monday as saying he wants to replace the 1995 apology with an unspecified “forward looking statement.” He said that his previous administration, in 2006-7, had found no evidence that the women who served as sex slaves to Japan’s wartime military had, in fact, been coerced. However, at a news conference last week, the chief cabinet secretary, Yoshihide Suga, said that Mr. Abe would uphold the 1995 apology but hinted he may revise the 1993 statement.

It is not clear how Mr. Abe, the leader of the Liberal Democratic Party of Japan, might modify the apologies, but he has previously made no secret of his desire to rewrite his country’s wartime history. Any attempt to deny the crimes and dilute the apologies will outrage South Korea, as well as China and the Philippines, which suffered under Japan’s brutal wartime rule.

Mr. Abe’s shameful impulses could threaten critical cooperation in the region on issues like North Korea’s nuclear weapons program. Such revisionism is an embarrassment to a country that should be focused on improving its long-stagnant economy, not whitewashing the past.

安倍政権の雇用対策----馬鹿も休み休みにしろ [政治]

安倍政権が緊急経済対策を打ち出した。20兆円を投入して60万人の雇用を創出すると言う内容だ。これを見て、「なかなかやるわい」などと思う人がいたら頭が悪いとしか言いようがない。20兆円でたった60万人と言うことがどんなことであるかを計算できれば、この馬鹿馬鹿しさに気づかずにはおれないからだ。

そう、一人3000万円と言うことになる。公共事業で増える雇用と言えば、現場作業の日雇い労働。年収300万円がやっとだろう。この10分の一でしかない。あとの90%はどこに消えるのだろうか。盛んに国家財政の危機を叫んだはずなのだが、消費税の増税が決まったとたんに、国税山分けの大盤振る舞いに走る。浪費体質は全く改善されていないと見える。

そんな馬鹿な事をするくらいだったら、「1万人に3000万円が当たる1円宝くじ」を売り出したほうがよっぽど経済効果は大きいだろう。多分おお売れに売れて、かかる費用は100分の一ですむ。日本中が宝くじ景気に湧くはずだし、インフレターゲットも達成される。

ムダ使いはこれだけではない。飯舘村の放射能除染では18戸の地区をゼネコンに発注して20億円かかった。しかも、除染は不完全で村人達は帰村をためらうようなものだ。一軒につき一億円もらって他の地区で暮らしたほうがよっぽどましだ。どうしてこんなにもムダ使いを発想できるものかとあきれる。

自民党政権の伝統とは言え、経済対策と言えばゼネコンや防衛産業に金をばら撒くことしか考えられない発想の貧困が続いている。経済対策とは庶民に金を循環させることだということが、この人たちにはどうしても理解できないらしい。困ったものだ。

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財政赤字はどうなったのだ----口をつむぐ安倍政権 [政治]

昨年まで政府は口を開けば財政赤字を叫んでいた。このままでは破綻するから、福祉の切り捨てなどの緊縮財政が必要だし、消費税の値上げは避けられないと言っていた。消費税の増税が一応決まり、安倍政権になったら財政赤字の問題には口をつぐんでしまった。次々に大判振る舞いの予算を繰り出している。様々な企業減税まで飛び出す始末であるから、財政赤字問題は諸費税を値上げするための口実でしかなかったのかと思われるくらいだ。

実際に債務残高がどうなっているかというと1012年にはまた増えてGDPの230%と言う驚異的な数値になって、もちろんギリシアを越えるダントツ世界一である。ちなみに米国は102%韓国は45%、中国に至ってはゼロである。普通、これだけ債務が膨れ上がれば信用不安で円が暴落する。

にもかかわらず円高が続いているのは集中豪雨のような輸出の大きさのせいだ。為替レートは輸出入のバランスで決まる。輸出が多ければ外貨がダブ付き円高になるし、輸入が多ければ外貨不足で円安になる。ここまで円高が進むと、輸出が難しくなるはずなのだが、日本の場合、加工費、その中の人件費を減らすことでこれに対処してしまう。どんどん賃金を下げて、円高でも平気で輸出できるようにした。

普通はそんなことは出来ない。先進国には労働組合があり、賃下げなど簡単にはできないのだ。経営者は賃金を上げても成り立つ経営を模索するしかない。ところが日本では、労働運動が抑圧されてしまい、ストライキなど見たくとも見られない。企業は自由に賃金を決められる状態が続いている。結果が、リストラ、非正規雇用であり低賃金化だ。

日本の賃金は、もちろん発展途上国に比べれば高いのだがG5諸国と比べれば格段に低い。簡単な統計を見ても、日本の賃金を100としてアメリカは126、フランスは130、ドイツは160である。給料が30%増えればどれだけ楽になるかは多くの人が身を持って知っているだろう。日本人はこれだけ多く搾取されているのである。

この異常性が、日本の財政赤字を許しつづけている原因でもある。日本人は低賃金を我慢することにより、政府の無駄使いをささえ、それがまた政治と経営を甘やかしている。根本原因である「低賃金」を是正しなくてはいくら消費税を増やしても、政治家はそれを良いことに無駄使いを増やすだけである。200%の肥満は消費税サプリ位で直るはずも無い、ことをはっきりと知るべきだろう。

不景気なのに賃上げなんて、とか、東南アジアに比べれば高いのだから、などと言うのは「騙し」である。東南アジアと比べるのは土台まちがっている。欧米の経営者は高賃金を払って立派に企業を成り立たせているのだ。日本の経営者が安易な金儲けに走っているだけだ。早い話、ただ働きさせればどんなアホな会社でも儲けられる。

本来、当然起こるべき円の信用不安を、異常な低賃金で補って成り立っているのが今の状態なのだから非常に危うい。下手にインフレターゲットなどといって通貨を膨張させればついには限度を超えて暴走が始まる。船板を燃やして焚き火をしようとする船長の船に乗船させられている国民ほど辛いものはない。

「3回やっちゃったけど、もう、しません」を信じてもらう方法 [政治]

「3回やっちゃったけど、もう、しません」というセリフを信じて貰えるだろうか?

何のことかと言うと日韓あるいは日朝関係のことだ。天武天皇の朝鮮出兵、秀吉のやった文禄・慶長の役、大日本帝国が行った朝鮮侵略。 事実は確認されていないが神功皇后の三韓出兵まで入れれば4回になるが、少なくとも3回、日本は朝鮮を武力侵略している。

もちろん、キチガイはのぞいて、殆ど全てのの日本人は、4回目の朝鮮侵略をやろうなどと思っていない。しかし、それを信じてもらえるかどうかは別の問題だ。北朝鮮の人たちが、「きっと日本が攻めてくる」と思ったとしても笑うことはできない。食べるものも節約してロケットを飛ばさないことには安心できない気持ちの根源は、過去に3回もやられたという事実に基づいている。

軍備縮小が世界の趨勢で、各国とも軍事費を減らしている中で、日本は来年度予算で、防衛費を増額すると言う。さらに、昔はあまり言わなかった竹島の領有権を強く主張してきているし、中国ともロシアとも領土問題で悶着を起こしている。4回目をやりそうな雰囲気が漂って見える。日本をアブナイ国だと感じている国は多いだろう。

この状態で「3回やっちゃったけど、もう、しません」と言われても、それを信じるのは無理だ。逆に、日本は何とかして信じてもらうしかない。年々増大するアジア市場にすがりつかなければ、日本は食っていけない。いつまでもアジアのアブナイ国だと思われていては困るのだ。経済状態も先行きが見えないし、まさに崖っぷちに来ている。

この際思い切って、竹島も尖閣も放棄してしまおう。「まちがいなく日本の領土ですが、友好のために差し上げます」と太っ腹な所を見せるのである。実はこの2島、経済的には何の価値もないのだ。天然ガスもどうせ日本本土には運べないし。漁業権もまったくたいした金額ではない。

逆に、巡視艇や自衛隊のスクランブルなどにかかる費用が無くなっただけでも、多くの予算が浮いてくるくらいだ。ドイツはルール・ザールの領土問題でフランスに大幅な譲歩をした。アメリカもドイツ領と認めた所の石炭採掘権をフランスに渡した。今日のEUを睨んでの聡明な処置だ。ドイツが日本のように偏狭な領土権を主張していたら、EUは無かっただろうし、フランス・ドイツの確執は続いていただろう。

「3回やっちゃったけど、もう、しません」を信じてもらうには、ドイツに倣って、過去に対する徹底した謝罪を表明し、太っ腹な譲歩をするのが賢い。

出たとこ、凹んだとこ----2013年度国家予算 [政治]

安倍ちゃんが新たに予算編成をして、安倍政権の特徴をアピールしている。 しかし、言葉の上でいいことずくめを並べられても眉唾でしかない。かといって、数字の並んだ表を眺めてもイメージは湧いてこない。手っ取り早く見るには、増えたところ、減ったところを比べて見ると良い。

目に付くのは、防衛費が増えて、丁度その分教育研究費が減っていることだ。 なるほど、これが安倍ちゃんの姿勢か。

あとは、緊縮財政らしく、社会保障も含めて、皆一様に減らして、その分を公共事業とエネルギー対策に振り向けている。これもなるほど安部ちゃんらしい。

あとは、官僚の言うまま例年とたいした変化はない。これもなるほど安部ちゃんらしい。

ところで、この予算は実は憲法違反だということにお気づきか?。もちろん、防衛費そのものが第九条に違反しているのだが、昨年度予算からの変化は第25条に違反している。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第二項にあるように、社会保障は年々増やして行くのが政府の義務なのだ。それを削って後退させると言うのは日本国の政府がやるべきことではない。どのようにして福祉を充実して行くのかを考えることこそ政治家の使命なのだ。政党助成金をキャバクラで使いまくって平然としている人は、もちろん憲法なんて読んだことも無いのだろう。

歴史認識考え違い----慰安婦宣伝 [政治]

安倍首相が前政権時代、ブッシュ米大統領との会談で歴史認識の問題を持ち出してたしなめられ、凹んでしまったことが辞任につながったことは良く知られているが、性懲りも無くアメリカで新聞に意見広告を出したりしている。日本の歴史認識改変論者もなかなか活発だ。

「朝鮮で20万人を性奴隷にしたなんてウソだ。強制したと言う証拠はどこにも無い」と言うわけだが、韓国も負けじとアメリカでの宣伝に努めている。あちこちに慰安婦の碑が建てられ、2007年には下院で「従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議」も上げられているし、このほどニューヨーク州議会ではも日本に対する非難決議が上げられた。

明らかに韓国の主張のほうが優勢に見える。証拠もないのに有罪とはおかしいと息巻く人たちもネット上ではかなりいる。あちこちの掲示板に熱心に書き込み、wikipediaなどにも書き付けている。この人たちには、なぜアメリカのような第三者に日本右翼の主張が受け入れられないのかが、どうしてもわからないようだ。少し冷静になって考えればわかることだ。

韓国では100人を超える人が被害にあったと名乗り出ているだろう。日本右翼の主張はこの「100人全員が嘘つきだ」と言うことになる。一人や二人でなく、100人全員を「嘘つき」よばわりするためには、証言があやふやだなどと言うケチつけだけでは済まされない。確固とした証拠が必要だ。

証拠が必要なのは「強制はなかった」と主張する側なのだ。ところが、「証拠が無い」を主張の根拠にしているのだから説得力がないのは当然だろう。ここが考え違いの大きなところだ。

証言は圧倒的に不利だ。万人単位で存在した中で、「私は強制でなく自主的に慰安婦やりました」と言う証言は1つも無い。千人単位で存在した慰安所経営者の中で「私の経営では一切強制はなかった」と言う証言も1つとしてない。

前者は、有ったとしてもなかなか言い出せないこともあるだろうが、後者は名乗り出てもおかしくない。どこの慰安所でも多かれ少なかれ強制はあったと考えるのが妥当だろう。誰だって好き好んで売春をしたいはずが無いからだ。

状況証拠もそろってしまっている。日本が朝鮮を侵略したことは否めないし、朝鮮人を強制連行して鉱山などで働かせたのも事実だ。南方戦線では、慰安婦狩をやった事実が記録されている。

この状態で、強制はなかったなどと宣伝を繰り返せば繰り返すほど「悪あがき」と取られてしまう。見苦しい醜態を国威発揚だなどと勘違いしてしまうところが、安倍ちゃんの一番の問題だ。現実を見ず、相手の考えが理解できない状態で一国の運営を託されているのだから恐ろしい。

中国艦船レーダーの謎 [政治]

中国の艦船が自衛艦にレーダーを当てたということで騒ぎになっている。これには、いくつかの謎がある。そもそもレーダーを使うのはいまどきの船なら当たり前だ。航行用レーダーではなく標的確定専用レーダーを使ったということだが、自衛隊のAWAX機やイージス艦などは常々ミサイル標的をレーダーで自動算出している。アメリカは人工衛星で常々標的を確認している。軍艦どうしが近づけばそれくらいのことは当然起こる。問題はなぜ両国の艦船がそんな位置で近づいたかと言うことだろう。

一連の報道で、どうもはっきりしないのがこの邂逅が起こった場所だ。「東シナ海の公海」だというのだが、当初の発表では尖閣の北180kmと言っていた。後からはこれを130から110kmと言いなおしている。180kmならかなり中国沿岸に近い。どちらにせよ、日本が主張する中間線ぎりぎりのところだから、中国から見れば十分に領海侵犯の疑いのある場所だ。おまけに、自衛隊は7.62mm機関銃を積んだヘリコプターまで動員して中国艦の至近距離に迫っている。

そんなところに、なんのために自衛艦が行かねばならないのか。挑発でしかないではないか。偶発事故的な戦争などを避けるためには、そういった挑発行動を取らないことが大切だと言うことを忘れてはならない。盧溝橋事件の二の舞はごめんだ。自衛隊は直ちに東シナ海から撤退するべきだ。そうすれば、中国に軍艦を近づけないことを要求もできる。自衛隊が中国の沿岸近くまで進出するのでは、中国だって艦船を派遣せざるを得ないだろう。

この事件の発表も謎がある。発表するならどうして何日も経ってからするのか?どうして外務省には連絡せず一方的に発表したのか?邪推すれば、この発表でどんな効果があるかを検討していたのだろう。マスコミに、自衛隊強化の誘導ができるのか、あるいはここで指摘したように、そんな所に出かけるなという世論になるかを判断して、前者とするのに時間がかかったのだろう。後で調べてわかった事は中国艦によるレーダー照射は過去にも何回か起こっており、別に「新たな段階」でもなんでもない。明らかに世論操作のための発表だ。外務省に連絡すれば、過去にも起こっていることが指摘されてしまうから知らせなかったのだろう。

いずれにせよ、防衛省が外務省を差し置いて外交を支配するような状況まで来ているという事態になっていることに間違いはない。

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